【ワシントン=柿内公輔】放射性物質(放射能)漏れ事故を起こした東京電力福島第1原子力発電所は、建屋内の汚染水や高い放射線量が復旧作業を阻んでいる。欧米各国の支援もあり、現地には原子力災害に対応できるロボットが投入されているが、十分に活用できていない。事故を想定したロボット運用のノウハウが日本にないためで、専門家からは、政府や東電が「原子力災害に備えたロボット政策を怠ったつけ」との批判が上がっている。 東日本大震災の発生に伴う事故から間もなく、米国から、米アイロボット社が米軍向けなどに開発している運搬用ロボットなどが日本に送り込まれた。日本の原子力安全技術センターも、放射能を測定できるロボット「防災モニタリングロボ」2台を現地に送り込んだ。 米社のロボットは、100キロ以上の物体を運ぶ能力があり、高い放射線量が検出されている場所で、消防ホースを運ぶ役割などが期待される。ただ、ロボット操縦用に
東日本大震災の被災地支援をめぐり、関西広域連合の加盟府県や近畿の政令市が、被災県や自治体を分担して長期の継続的な支援を目指す「対(たい)口(こう)支援(ペアリング支援)」と呼ばれる手法を試行導入し、注目を集めている。2008年の中国・四川大地震で中国政府が用い、復興への成果を上げた手法で、時々のニーズに応じたきめ細かい支援を行えるのが特徴。昨年末に結成されたばかりの関西広域連合が全国に先駆けて実践する形になっており、専門家からは、政府主導で全体的な法制化を求める声も上がっている。 ●カウンターパートを 関西広域連合では地震発生2日後の13日、各府県の知事が集まり、岩手、宮城、福島の甚大被災3県にそれぞれ担当を決めて支援を実施することに決めた。 「カウンターパート(対応相手)を作ってはどうか」と提案したのは、阪神大震災の被災地、兵庫県の井戸敏三知事だった。井戸知事は関西広域連合の連合長も務め
記者活動をしていると、参考文献の引用や画像の扱いをめぐって判断に迷うことがある。著作権の問題が生じるからだ。ルールに基づく正当な範囲での引用は別として、著作物の使用には原則許諾が必要だが、中には「相手の了解が要るのだろうか」と首をかしげる例もなくはない。デジタル時代の著作権問題について書いた話題の『著作権の世紀−変わる「情報の独占制度」』(集英社新書・756円)を読んで、そんな疑問が解消された。法的根拠は怪しいのに、あるかのような扱いを受けている「疑似著作権」の例が増えているという。著者の福井健策弁護士に実情を聞いた。(堀晃和) 「疑似著作権」は福井弁護士が名付けた言葉。「理論的には著作権ではないが、社会で事実上、それに近いような扱いを受けているケースをさす」という。 建築物の写真の例が分かりやすい。建物の撮影は、著作権法の第46条で許諾不要が認められている。雑誌への掲載など写真の利用方法
医師の資格がないのに医療行為である腸内洗浄を行ったとして、千葉県警環境犯罪課などは3日、医師法違反の疑いで、同県山武市松尾町大堤、元診療所経営、菱木近義容疑者(55)ら3人を逮捕した。 同課によると、菱木容疑者らは「悪い物が出て体がきれいになる」などとうたい、確認された範囲で女性患者計6人にコーヒーを使った浣腸を実施。健康被害は確認されていないが、同課は他にも同様の違法行為を行っていたとみて調べている。同課によると、いずれも容疑を否認しており、菱木容疑者は「準備や後片付けはしたが、浣腸自体は患者が自分でやっていた」と話しているという。 逮捕容疑は昨年4月23日〜8月27日までの間、同市内に設立した「代替医学総合研究所松尾本店」(昨年閉鎖)で、便秘などの症状を訴えていた当時中学1年の女子生徒(14)ら患者2人に、浣腸器具を使って肛門からコーヒーを注入するなど、無資格で腸内洗浄を行ったとしてい
「動物愛護管理法改正を検討する議員連盟設立総会」であいさつ、動物愛護を訴えた杉本彩さん(左奥)=2日午前、東京・永田町の衆院第一議員会館(酒巻俊介撮影) 犬や猫などの飼い主に税金をかける「ペット税」構想が民主党内で急浮上している。ペットを無責任に捨てる飼い主に動物愛護の自覚を促すのが目的だが、税収が保健所の「殺処分に使われる」とのうわさが広がり、党本部に抗議が殺到する事態に。一方で具体的な制度設計はまったく進んでおらず、単なる“空騒ぎ”に終わる可能性も高い。 民主党税制改正プロジェクトチーム(PT)は、平成23年度税制改正に関する提言に「ペットの無責任な放棄を行政が費用負担する負の連鎖に手を打つ」として、ペット税の導入を盛り込んだ。だが、事前の根回し不足から党内外で情報が錯(さく)綜(そう)。一部議員からは「事務所にクレームが来た」などとの不満が出ている。 ペット税構想は自民党政権時代にも
医療介入をなるべくしない助産院や自宅での分娩(ぶんべん)は、“自然なお産”として美化して伝えられることが少なくない。しかし、実際には医療介入があれば救えたはずの命が失われたり、負う必要がなかった重い障害を負っているケースもある。こうした悲劇を減らそうと、助産院の出産で長女を亡くした女性が“自然なお産”に警鐘を鳴らすブログを開設。「母子の安全を守るという観点で助産院や自宅分娩の問題点を広く考えてほしい」と訴えている。(平沢裕子) この女性は北関東に住む「琴子の母(琴母)」さん(39)。平成15年8月に助産院で出産した長女、琴子ちゃんは妊娠中に逆子(さかご)(骨盤位)と分かった。最初に予約していた実家近くの助産院では「逆子なら病院」と断られたが、知人から「逆子直しの名人」として別の助産院を紹介される。 助産師から「逆子の方が簡単」と言われ、また、ネットで「逆子でも助産院で産んだ」という情報が多
振り込め詐欺の犯行グループの大半が電話帳を悪用していることが分かり、警察がNTTの個人名電話帳「ハローページ」からデータを削除するようお年寄りらに呼びかける動きが急速に広がっている。中にはNTTに対し、契約者への掲載意思の再確認を要請した県警もある。警察が犯罪とは無関係の企業の事業に「口出し」をするのは異例だ。 捜査関係者によると、振り込め詐欺の犯行グループが電話帳から高齢者を見分ける手口はほぼ共通している。「ヱ」「枝」「代」などの字が含まれる女性名は夫と死別するなどして1人暮らしをしている高齢女性の確率が高いとされる。 増加中の警察官をかたる詐欺では、特に電話帳掲載者が標的になっている。銀行協会の職員を装った犯人がキャッシュカードを受け取りに自宅を訪問する手口のため、住所が記載されている電話帳が「役立った」との供述もある。 実際に、和歌山市では4月、カ行とサ行で始まる名字で、女性の名前で
弁護人らと大阪地裁に入る、厚労省元局長の村木厚子被告(左)=10日午後1時40分、大阪市北区(門井聡撮影) 郵便不正事件をめぐる一連の公判は、取り調べを受けた証人が次々と供述を覆し、検察は劣勢に立たされた。公判部副部長や捜査に当たった特捜検事が公判を担当し、取調官6人に証言させるなど異例の態勢で立証を試みたが、供述調書の大半が証拠と認められなかった。当初、有罪を確信していた検察からも、論告求刑公判前には無罪を覚悟する声が聞かれた。全23回の公判から、主な局面を当時の検察内部の反応を交えて振り返る。第4回公判(2月4日) 村木厚子元局長から偽造証明書を受け取ったとされた凛の会の倉沢邦夫被告(74)が出廷。自身の手帳を見ながら、検察側の主張する平成16年6月上旬に受け取った可能性はないと答えた。 検察幹部は「倉沢被告は手帳に予定をすべて書いていたわけではない。元局長から手渡されたこと自体は生の
村木厚子元局長の無罪判決を受け、かつての部下と上司がそれぞれコメントした。 捜査段階で元局長から指示があったとの供述調書が作成された元係長の上村勉被告は「無実の人に無罪の判決が出てほっとしました。無実の人を冤罪(えんざい)に陥れようとする取り調べに屈してしまったことを深くおわびします」。また、検察が元局長に指示したと位置づけた塩田幸雄元部長も「無罪判決を心から喜んでいます。常に国民に信頼される検察庁であってほしいと願います」とした。
大阪市西区のマンションで幼い姉弟2人の遺体が見つかった虐待事件で、死体遺棄容疑で逮捕された母親の下村早苗容疑者(23)が、元夫と結婚していたころ、長女の桜子ちゃん(3)を三重県四日市市の自宅に置き去りにしたまま、遊びのために外出していたことが2日、分かった。子供の世話を元夫の家族に任せきりだったことも判明。府警は、下村容疑者が当時から育児放棄(ネグレクト)状態だったとみている。 捜査関係者らによると、下村容疑者は平成18年12月に結婚し、三重県四日市市の夫の実家で義父母と同居した。19年5月に桜子ちゃんを出産した後、車で15分ほどの同市菰野町に引っ越した。20年10月に長男、楓ちゃん(1)が誕生した。 当時、下村容疑者は、桜子ちゃんの服を選ぶ楽しみや、楓ちゃんを身ごもったことを喜ぶ気持ちをブログに書き込んでいた。 実際は食事や入浴、寝かしつけなど現実的な子育てには関心が薄く、同居中は義母、
【ジュネーブ=共同】国連欧州本部で開催中の世界保健機関(WHO)総会の委員会は20日、ビールやワインといったアルコール飲料の飲み過ぎなどによる健康被害を防ぐため、酒類の安売りや広告宣伝の規制案を盛り込んだ「アルコールの有害な使用を軽減するための世界戦略」を承認する決議を全会一致で採択した。会期末の21日までに本会議で承認される。 「世界戦略」は特に未成年や若い成人層を狙った酒類の広告、宣伝を問題視したほか、健康被害の軽減には価格の引き上げも効果的な措置と位置付けた。そのうえで、原価割れや飲み放題均一料金での酒類の販売、青少年向け広告の禁止、制限などを検討すべき政策として例示した。 決議は加盟国にこうした政策の励行を求める一方、各国の事情によって実施するかどうか検討できる「選択肢」であることも明記。法的拘束力がないことを明確にした。
「どういう応対をしているんだ!」。閉店時間間際の神奈川県内の大型スーパー。食品売り場のレジ前で、40歳前後の男性客が大声を張り上げた。 きっかけは傍目にはささいなことだった。会計待ちの列に並んでいる途中、客をさばいた別のレジの店員が、すぐに「こちらへどうぞ」と案内しなかったのだ。急ぐがゆえの叱責だったはずが、男性の怒りはいっこうに収まらない。店の責任者を呼び出すように告げ、店員10人ほどを横一列に並ばせて、怒りをはき出した。店のスタッフは1時間以上にわたってひたすら頭を下げ続けた。 トラブル処理にあたった社員は「応対に落ち度があったのは事実。だが、突然、あまりのけんまくで長時間怒鳴られたため、店員はかなりショックを受けていた」と打ち明ける。 東京都内の飲食店。中高年の男性客が、勘違いから予約の1時間以上前に訪れた。店はまだ準備を始める前。フロント近くの待合席でしばらく待ってもらうよう告げる
「しずかちゃんの裸はOK−」。子供の性行為を描く漫画など「2次元児童ポルノ」規制に向け、東京都が可決を目指す青少年健全育成条例の改正案で、都は26日、都民らから多数寄せられた質問25問と都側の見解をまとめ、都HPに掲載した。 規制対象“外”の一例として、「ドラえもん しずかちゃんの入浴」「サザエさん ワカメちゃんのパンチラ」「新世紀エヴァンゲリオン レイやアスカのヌード」といった具体例を列挙するなど踏み込んだ内容となった。 「改正案質問回答集」によると、「『表現の自由』の侵害ではないか」との懸念には「(規制対象となる作品を)創(つく)ることや出版すること、18歳以上が買ったり見たりすることはこれまで通り自由だ」とし、定義が曖昧(あいまい)と批判された「非実在青少年」について「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されているキャラクター」と規定した。 一方、規
カジノ合法化法案の成立を目指し14日に発足する超党派の「国際観光産業振興議員連盟(カジノ議連)」は13日、警察の裁量で換金が事実上認められているパチンコについてもカジノ法案と同じ仕組みで立法化していく方針も固めた。カジノを合法化すれば「パチンコは賭博ではないのか」との議論が起こりそうなため、パチンコによる換金も行政の監視下で合法化させるのが目的だ。 カジノ法案では、カジノについて、国や地方公共団体が運営を厳格に管理、監督することを定めることで、刑法が禁じる賭博の「例外」扱いにする。民主党の案では、地方公共団体の申請を受けた国がカジノエンターテインメント(特定複合観光施設)区域を指定。地方公共団体は、運営する民間事業者を公募・選定し、警察と協力して違法行為の摘発、監視も行う。 一方、パチンコは現在、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)」で「遊技場」と位置づけられ、獲得賞
3月26日、米マサチューセッツ州の上級裁判所で、有罪判決を受けた後、拘留されるマイケル・レイリー被告。判決読み上げの際、表情を変えることはほとんどなかったという(AP) 米マサチューセッツ州で今年3月26日、オムツもとれない3人の子供たちに躁鬱(そううつ)病薬を過剰投与し続け、1人を死亡させた若い父親に殺人罪での有罪判決が下された。 死亡した子供はわずか2歳から薬を飲ませられはじめ、医師も過剰投与を知りつつ薬の処方を続けていたという。“寝付きが悪い”“うるさい”などの理由で無理矢理薬を飲ませ続けた夫婦の実態が米国社会に衝撃を与えた一方、事件は子供の精神的な病をどこまで認めるかという問題にも光を当てている。(黒川信雄) レベッカ・レイリーちゃん(死亡当時4歳)はその日の夜、苦しさから「ママ…。ママ…」と何度も母親を呼び続けていたという。しかし母親のキャロライン被告(35)が子供に与えたのは、
高速水着素材の開発で知られる山本化学工業(大阪市)の製品が「がんに効能がある」とうたわれ違法に販売されていた事件で、社員が逮捕されたゴム製品販売会社「ハーキュリーズグループ」の所在地や社長が山本化学工業と同じであることが21日、京都府警への取材でわかった。 府警は2社の関係や、山本化学工業が違法販売の実態を知っていたかどうかを慎重に調べる。 府警によると、ハ社の登記上の本社は大阪市東成区だが、事務所は大阪市生野区にある山本化学工業と同じビル内にあり、電話番号も同一。山本化学工業の山本富造社長が代表を務めていた。 一方、山本化学工業は21日に新製品の水着を発表する予定だったが、「関連会社の社員に容疑がかかり、その対応に追われている」として急遽(きゅうきょ)、発表を中止した。
「チャレンジ25キャンペーン」で(前列右から)上戸彩さん、加山雄三さんらと話す鳩山首相=14日午前、首相官邸 鳩山由紀夫首相は14日、首相官邸で開かれた温室効果ガスの25%削減に向けたイベントであいさつし、「地球から見れば、人間がいなくなるのが一番優しい自然に戻るんだという思いも分かる」と述べ、独特の世界観を披露した。 首相は「いま1日100種類の命が失われている」と指摘し、生物多様性の重要性を強調。その上で「人間が存在しているからこそ、このような地球になっていることを謙虚に認めなければならない」「地球を襲っている人間という生物が犯している大きな誤りの1つが、地球の温暖化現象だ」と語った。 これまでも「国益も大事だが、地球益も大変大事だ」「日本列島は日本人だけのものじゃない」などと“友愛発言”を繰り返してきた首相。イベントでもその精神を強調したかったようだが、さすがに「その結論(人間がいな
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