5月は私にとってはつらい月だ。育ててきた学生の半数以上が3月に社会に出て行き、4月には新人が研究室のメンバーになる。今年は修士課程6人と4年生9人が新人として現れた。 彼らの多くは、これまでほとんど間違いなく受け身の勉強をしてきた。授業を聞いてレポートを書き、試験を受けて単位をもらう。レポートの内容が嘘っぱちだったりネット情報のコピーペーストだったりしても、また試験の答えが間違っていて点数が足らなくて単位が取れないことがあったりしても、社会や他人に何の損害を及ぼすわけでもない。責任もリスクもない人生を続けているのが学生なのだ。強いて言えば、卒業できないリスク、就職できないリスクが残るだけだ。 こんな学生がそのまま社会に出ると、大学の評価は低くなるが、それ以上に彼ら自身が苦労することになる。 「大学では学生を教育してないようですから、結局入社してもらってから教育することになります」。企業人か