1年に1回、それも片道だけ運行される路線バスが京都にある。 「幻のバス」と話題を呼び、車内はファンで満席になるという。春分の日、古刹(こさつ)・三千院で知られる大原から、天狗(てんぐ)伝説で有名な鞍馬(ともに京都市左京区)へと向かうバス。でも、なぜ年1便だけなのか。 「京都バス」の95系統(大原鞍馬線)。大原―鞍馬間の約12キロ、21停留所を約30分で走る。両地区を通る府道が完成した1986年に運行を始めた。 春分の日から11月末までの日曜・祝日に1日3往復(6便)走らせ、94年度には約3200人が利用した。しかし、大原、鞍馬を一度に回る観光ルートは必ずしも定着せず、乗客数は次第に減少。山あいを走るため住民らの利用も乏しく、2011年限りで事実上撤退した。