
アニメ放映終了後にまとめて読もうと思っていたが、我慢しきれず『響け!ユーフォニアム』の原作小説に手を出してしまった。アニメと比較しながら読み進めていくと、これが面白い。原作1巻を1クールかけてアニメ化しているのだから(正確には短編集の挿話も拾っている)当然かもしれないが、アニメを再び観直すと「これはオリジナルだったのか!」という描写が頻出し、膨らませているポイントの多さになかば感心してしまったほど。たとえば、第5話「ただいまフェスティバル」で印象的だった久美子と麗奈の帰り道(麗奈が髪をかき上げるあの場面)も追加されたエピソードだ。そもそも、原作の久美子は麗奈のことを最初から名前で呼んでいて、距離感に若干の違いがある。アニメは麗奈との関係性を強調するためだろう、少し“遠い”ところからスタートしている。その甲斐あって第8話で「麗奈」と名前を呼ぶ特別な儀式が生まれたわけだ。名字と名前、どちらで呼
あるクリエイターが頭角を現す瞬間というものが存在するとすれば、『響け!ユーフォニアム』第8話「おまつりトライアングル」はまさにそれを目撃した気分になった。絵コンテ/演出は藤田春香。アニメーターとしてのクレジットは見かけていたが、『中二病でも恋がしたい!戀』(2014年)で演出デビューした経歴からすると若手の方だろうか。ふと思い出したのは京都アニメーション出身の『アイドルマスター シンデレラガールズ』高雄統子監督が京アニ時代に担当したある話数だ。それは作画監督に堀口悠紀子を迎えた『CLANNAD』番外編「もうひとつの世界 智代編」(2008年)。堀口さんの繊細なアプローチに感じ入り、演出の契機になった話数だと後に語られている。事実、今観直すと剥き出しの高雄演出に唸る場面ばかり。「智代編」は高雄統子という演出家のキーエピソードといっていい。そうした例が頭に浮かび、「おまつりトライアングル」は藤
新人声優「ずかちゃん」こと坂木しずかにようやくスポットライトが当たった。『SHIROBAKO』第23話「続・ちゃぶだい返し」のラストシーンについて少し、書いておきたい。前回、しずかは自室で一人、テレビに出演しているフレッシュな声優をみながらビールをあおっていた。その様は胸に突き刺さり、痛々しかった。今回、まず憎い演出だなと思ったのは、キャサリンの妹・ルーシー役にしずかが選ばれるんじゃないかと視聴者に期待させている中、アルバイト先の居酒屋で映されるしずかのカットだ。静かに電話と取ったしずかの後ろは前回を引きずるように暗く、目の前は明るい。アフレコ現場にシーンを移す直前のこのカットは妙に引っ掛かった。どうして気になったかというと、23話のポイントは「誰と何を共有しているのか」だと思ったからだ。ラストシーンをみてみよう。宮森あおいは追加シーンのアフレコ現場に姿を現したしずかをみとめ、言葉にならな
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