ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた [著]パット・シップマン ネアンデルタール人は現生人類より前にユーラシアに居住していた。人類と同程度の知能をもち、同じように狩猟生活をしていた。火や石器を使用し、死者埋葬、芸術活動などもした。5万年前にアフリカから到来した人類と交流し、混血もあった。これまでの定説では、彼らは2万数千年前に絶滅したということになっていた。しかし、最近、彼らは4万年前に、しかも短期間のうちに絶滅したという新説が有力となった。本書はそれにもとづいて、どうして彼らが絶滅したのかを問うものである。このような新説が続々と出てきたのは、年代測定法とゲノム解析が急速に進展したからである。本書はそれらの成果をフルに活用して、絶滅の秘密を推理する。それはスリリングであり、また、さまざまな示唆に富む。 ネアンデルタール人が絶滅したのは、気候変動のせいだといわれる。むろん、それは大きな