タグ

ブックマーク / hiiragi-june.hatenadiary.org (66)

  • 「捏造」の本来の読み方が「でつぞう」とは!  - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第323号、通巻343号) 「神の手」。日の考古学の歴史を根底から塗り替えるような“旧石器”を次から次へと発掘してきた東北地方のアマチュア考古学者・F氏は、そう呼ばれていたが、実は「捏(でっ)ち上げの手」だった。今から13年前、毎日新聞はF氏の捏(でっ)ち上げの現場をビデオカメラに収め、「旧石器発掘ねつ造」とスクープした。日史の教科書が、旧石器時代の項をそっくり訂正せざるをえないほどの衝撃的なニュースだった。 この大スクープの裏側を描いたドキュメント『発掘捏造』(新潮文庫)がたまたま私の団地の共用図書館の書架にあった。すぐに借り出して一気に読了した。「捏造」の「ねつ」が紙面では、ひらがなになっているのは、常用漢字でないためで、新潮文庫では表紙に「はっくつねつぞう」とルビが振られていたが、「捏」とはそもそもどんな意味なのかと家人に尋ねられ返事に窮した。 漢和辞典2、3冊にあたってみたと

    「捏造」の本来の読み方が「でつぞう」とは!  - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2013/04/05
    「でつ」はウッドストックの顔文字だろ。
  • 続「こだわり」に「こだわる」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第321号、通巻341号) よくもまぁ、これほど数多く収集したものである。『新明解国語辞典』の編纂者、山田忠雄主幹の著作『私の語誌』(三省堂)の第2巻は、副題に「私のこだわり」とある通り、「こだわる(名詞形、こだわり)」の用例のオンパレードである。ほとんどすべて新聞記事から採録したものだが、ざっと数えたところ、380をゆうに超えていた。 しかも、文脈が分かるように前後の文章をかなり長めに引用し、その後に文例を分析、短評を加えている。しかし、ブログにこれらの主だったものだけでも紹介するのは煩瑣になるので、単行の結論的な個所と、著名な文章家の「こだわり」に対する山田主幹の批判、いや罵倒とも言うべきすさまじい酷評ぶりを紹介しよう。 まず、「こだわる」の根源的な意味は「それだけを唯一・至上の目標として追求する。若しくは、それを手中から離すまいとする」に帰するとしたうえで、この語は多用されている

    続「こだわり」に「こだわる」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2013/03/23
    ポジティブなほうの「こだわる」は一本調子になりがちな常套句なので敬遠している。(認めないわけではないが)
  • 「大きい顔」と「大きな顔」の違い - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第306号、通巻326号) 前号の11月28日付けの「違くない、好きくない」は、当ブログ開設以来最大の反響があった。コメントも、これまでにないほど多数寄せられた。その中の一つに「“大きい”と“大きな”は、元々は別の単語だったのか」という質問があった。 いささか虚を突かれた思いで調べてみた。結論としては、同じ単語から生まれたものだ、と分かった。『日国語大辞典 第2版』(小学館)によれば、「大きい」は古語の形容動詞「おおきなり」が室町時代以後に形容詞化して生まれた。一方、「大きな」は、「おおきなり」の連体形「大きなる」が連体詞の形で残ったものだという《注1》。 つまり、「大きい」は形容詞だから語尾を「く」と変化させて「大きくない」と否定形にできるが、「大きな」は形容詞でも形容動詞でもなく、連体詞《注2》なので語尾変化せず、ただ名詞(体言)を修飾するだけだ。 しかし、名詞を修飾するに際しては

    「大きい顔」と「大きな顔」の違い - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「違くない」「好きくない」。動詞の形容詞化の兆し - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第305号、通巻325号) 「ちがくない」、「すきくない」。こんな妙な言い方を耳にするようになったのはいつごろからだろうか。若者たちの間ではすでに20年ほど前から使われていた、と言う人もいる。一時的なハヤリとは言えない。日語文法の変化の兆候の一つだろう。「違う」を否定するなら「違くない」ではなく、「違わない」とすべきであり、「好き」の否定なら「好きくない」ではなく、「好きでない(好きじゃない)」とするのが普通だが、言葉の変化は、前回のブログになぞらえて言えば「すごい速い」と感じる。 「違う」はれっきとした動詞だ。語幹は「ちが」。5段活用なので、否定の助動詞「ない」に接続するときは未然形の「わ」の活用語尾を付けて「違わない」となる。『明鏡国語辞典 第2版』(大修館書店)には、「違う」の見出しの語義の後にわざわざ[注意]を設け、以下のように述べている。 [「違く」の形で形容詞のように使うの

    「違くない」「好きくない」。動詞の形容詞化の兆し - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2012/11/28
    おしっこ出そくない。
  • 「コスモス」。花と宇宙 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第296号、通巻316号) 年間を通して気温が低い故郷の釧路は、桜(ソメイヨシノ)の開花も関東地方より1カ月半から2カ月遅い。ところが、桜でも「秋桜(アキザクラ)」が咲くのは早い。私が9月始めに高校時代のクラス会で帰省した折には、街中のあちこちで花開いていた。「この時季に?」と一瞬、怪訝に思ったが、考えてみれば、寒冷地なのだから秋の訪れが早く、秋の花々が咲くのもまた関東地方より早いのは当然のことと気づいた。 秋桜は、「コスモス」の和名である。と言っても、「秋桜」と書いて「コスモス」と読まれるようになったのは、さだまさしが山口百恵のために作詞した歌がきっかけだ《注1》。それはともかくコスモスといえば、宇宙の意味もある。元来はギリシャ語だという。『日国語大辞典』第2版(小学館)には、「ギリシア神話で、秩序整然とした調和ある世界。宇宙。秩序」を指す、とある《注2》。 花の名としての意味は2番

    「コスモス」。花と宇宙 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2012/09/29
    「「秋桜」と書いて「コスモス」と読まれるようになったのは、さだまさしが山口百恵のために作詞した歌がきっかけだ」 これ、意外と知られてませんよね。
  • 「うがった見方」とは - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第297号、通巻317号) うがった見方をすると、文化庁の国語世論調査の対象になった単語について当の文化庁の担当職員も“正解”の意味で使っている人はきわめて少ないと思う。 文化庁が平成7年度(1995年度)からは毎年行っている「国語に関する世論調査」の平成23年度の結果が9月20日に公表された。興味深いデータがいくつかあったが、中でも驚いたのは、このブログの書き出しの太字部分の「うがった見方」の意味だ。調査では、「うがった見方をする」という言葉は,A)物事の質を捉えた見方をする B)疑って掛かるような見方をする、のどちらの意味で使っているか、と質問しており、それに対してA)と答えた人が26.4パーセント、B)とした人が48.2パーセントだったという《注》。 私自身の語感で言えば、A)もB)もしっくりこないが、二者択一で迫られたらB)と答えただろう。ところが、文化庁が来の意味として“正

    「うがった見方」とは - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 辞書も追認「鳥肌が立つ」の新用法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第291号、通巻311号) メダルラッシュに湧いたロンドン五輪が閉幕した。14日付けの朝日新聞の1面コラム、天声人語は「日選手団のメダルは過去最多の38個。これにて彼らは重圧から、我らは寝不足から解放される」と書いた。まことに言い得て妙だ。 テレビで五輪の実況中継を見ながら感動的な名勝負や予想外の試合展開に「鳥肌が立つ」思いをした人も多いだろう。私もその1人だ。しかし、意外なことに、感動した時に「鳥肌が立つ」と表現するのは、昭和の終わりから平成に入ったころになって広まった新しい用法のようだ。 ちなみに、1998年(平成10年)11月11日発行の『広辞苑』第5版の「鳥肌」の項には「皮膚が、鳥の毛をむしり取った後の肌のように、ぶつぶつになる現象。強い冷刺激、または恐怖などによって立毛筋が反射的に収縮することによる。俗に『総毛立つ』『肌に粟を生ずる』という現象」と百科事典並に詳しい説明がほど

    辞書も追認「鳥肌が立つ」の新用法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「なにげに」気づいた「なにげない」新語法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第289号、通巻309号) なにげなく(何気無く)テレビのスイッチを入れたら、ロンドン五輪の女子柔道57キロ級で松薫選手が日初の金メダルを取った場面だった――この文章の冒頭の「何気無く」の「無」を省いて「なにげ(何気)に」とした場合、少々違和感を覚える人はいるにしても、意味は十分通じるだろう。 しかし、国語辞典で「なにげに」を見出し語として正規に立項し、認知しているものはほとんどない。新用法に寛容な『明鏡国語辞典』第2版(大修館書店)ですら「なにげない」の見出しの語義の後に〔注意〕として「近年、『何気なく』『何気なしに』を「何気に」と言うが、誤り」とキッパリ断定し、『新明解国語辞典』第7版(三省堂)も、「何気無く」を「何気に」というのは誤用、と同様の注記を加えている。 『岩波国語辞典』第7版によれば、「何気ない」の項で「これの副詞的用法「何気無く」を「何気に」と言うのは1985年ごろ

    「なにげに」気づいた「なにげない」新語法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「生保」を「ナマポ」と読むなんて! - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第280号、通巻300号) 東京・秋葉原の街頭で若者たちに「生保」と書いた文字を見せ、どう読むかインタビューしているテレビ番組があった。ほんの数日前のことだ。途中から覗いたテレビだったので、番組の前後の流れが分からず、地名のテストかと勘違いして頭の中に一瞬「おぼない」と言う読みが浮かんだ。秋田県の田沢湖近くに「生保内」と書いて「オボナイ」と呼ぶ町(秋田県仙北市)があるからだ。 けれども、テレビの画面で示されていたのは「生保」と2文字。「内」という字が抜けている。とすれば、私の常識では「セイホ」としか読みようがない。言わずもがな、生命保険の略だ。なのに、マイクの前で若者たちは誰もが「ナマポ」と言うではないか。中には、恥ずかしそうな、照れくさそうな表情を見せる人もいたが、「セイホ」と言った若者は登場しなかった。 お笑いタレントの母親の生活保護費受給問題を取り上げた番組の狙いから言えば、生保は

    「生保」を「ナマポ」と読むなんて! - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 捜査の「見立て」が筋違い? - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第198号、通巻218号) 「見立て」というと、どんなことを連想するだろうか。「ネクタイの見立てがいい」とか「あの医師の見立てはしっかりしている」とかの類だろう。見立て、という言葉は、他にも様々な意味を持つ多義語だが、「検察の見立て」とか「捜査の見立て」という使い方は、これまであまりなかったように思う。 前回のブログでも取りあげた郵便不正事件にからむ大阪地検特捜部の前田恒彦・前主任検事の証拠隠滅容疑事件。このニュースをスクープした9月21日付けの朝日新聞は「捜査の見立てに合うよう(証拠のフロッピーディスクの)データを改ざんした」疑いがある、と報じた。この報道をきっかけに、マスコミ各紙(誌)には、「改ざん」という語と共に「見立て」が頻繁に登場するようになった。 とくに難しい言葉ではない。記事の文脈から「事件の筋書き」「検察が描いた事件のシナリオ、ストーリー」あるいは「事件の構図」というよう

    捜査の「見立て」が筋違い? - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 続「知ってか知らずでか」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第194号、通巻214号) 実は、標題の慣用句にはさまざまなバリエーションが存在する。ウエブを検索しただけでも、10種類ほどにもなる。以下、素人の独断で、元になったと思われる語から変化語まで図式化してみると―― 知ってか知らずでか→知ってか知らでか→知ってか知らずか→知ってか知らずてか→知ってか知らずしてか→知ってか知らぬのか→知ってか知らぬか→知ってか知らずにか→知ってか知らないでか→知ってか知らないのか…… これらの同種の語の中で私自身はふだん何を使っているか。意識して用いる語ではないので、明確には記憶していないが、「知ってか知らずでか」はたぶん使ったことはない。会話ではふつう「知ってか知らずか」を口にし、文章に書く場合は「知ってか知らずか」を使ったり、「知ってか知らでか」を用いたり、と混用している気がする。 問題の中心にある「で」は、文法的にいうと接続助詞である。『角川必携古語辞典

    続「知ってか知らずでか」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「知ってか知らずでか」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第193号、通巻213号) 愛用している英和辞書が2冊ある。学習研究社の『スーパーアンカー英和辞典』と小学館の『プログレッシブ英和中辞典』である。スーパーアンカーの編集主幹を務める山岸勝榮氏は英語学、言語文化学が専門。日語の語感もするどい。同氏が自分のホームページ「山岸教授の日英語サロン」《注》で、“知ってか知らずでか”を“知ってか知らずか”と書く人が多くなってきている、と慨嘆している一文を読んだ。それに触発され「知ってか知らずでか」という慣用句についてにわか勉強を始めた。 結論的に言ってしまえば、「知ってか知らずでか」が伝統的な来の用法だったと思われる。それが、いつのころからなのか、後ろ3文字の一部が省略されるようになってきた。その延長で広まった新語法の中で勢力をもったのが「知ってか知らずか」だ。 今や新聞でも使い、テレビ、ラジオのアナウンサーも口にしているが、山岸氏に言わせると「

    「知ってか知らずでか」 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2010/09/15
    「知ってか知らでか」または「知るや知らずや」というのが普通だと思うけど、「知らいでか」というのもあってややこしい。
  • 「ご存じ」か「ご存知」か - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第192号、通巻212号) ひらがなで「じ」と書くか、漢字で「知」と書くか。今回の標題の場合、あなたはどちらを使うだろうか。おそらくほぼ半々に分かれるに違いない。 「ごぞんじ」は、動詞「存ず(る)」から来ている。存ずる、とは「考える」「思う」や「知る」「承知する」「心得る」の意の謙譲語である。その動詞の連用形が名詞になって「存じ」になり、そこに敬意を表す接頭語「ご」が付いたものと考えられる。現在では「御存じ、ご存じ」と書くのが普通である。しかし、「知る」という意味に引かれて一般に「御存知」と書くこともかなり行われている《注1》。 ほとんどの国語辞典や用字用語辞典の類は「御(ご)存じ」を正統扱いにしている。見出しに「御存知」を出している辞書でも「じ」の方を先に挙げており、「ご存知」は当て字としている場合が多い。以上が通説である。 『明鏡国語辞典』(大修館書店)の編者たちが執筆している『続弾

    「ご存じ」か「ご存知」か - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • Re: Re:「ご返事」か「お返事」か - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第191号、通巻211号) 「お誕生」「ご誕生」のように、「お」も「ご」も使える単語はそう多いわけではないが、少しずつ増えつつあるように見える。前回のブログの末尾でも紹介した、このような「相乗り」語には規則性があるのだろうか。私が調べた限りでは明確な基準はないように思われるが、ある傾向はうかがえる。「ご」→「お」、「ご」=「お」の移行である。 冒頭に例を引いた「誕生」は漢語だから基ルールからいうと「ご誕生」となるべきであり、「お誕生」はありえなかったはずだ。しかし、現実には「お誕生日、おめでとう」とか「お誕生会」とかなどとごく日常的に使われており、なんの違和感も覚えない。「祝辞」「勉強」「年始」なども「お」と「ご」の両用を耳にする。 「ご」が、尊敬を表すことが多いのに対し、「お」は、尊敬はもちろんのこと、美化や冷やかし、皮肉、あるいは幼児語としても使われるなど用途が幅広い。 「(子ども

    Re: Re:「ご返事」か「お返事」か - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2010/09/02
    お上品。
  • 返信メールの“Re”の意味と由来 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第189号、通巻209号) Eメールを受け取った後、発信者に返事を出そうとパソコンのメールソフトの「返信」ボタンをクリックする。画面の宛先欄に相手のアドレスが打ち込まれており、「件名」の欄には相手が書いてきた用件の冒頭に“Re:”が自動的に付記される。“Re:”は返信であることを示す接頭辞、言わば目印になっている。 日ごろ何気なく使っている “Re:”について、多くの人は英語の“reply”(返信)か“response”(応答、返答)あるいは“return”(返却)の略、と漠然と思っているに違いない。私自身、数年前までなんの疑いもなくそう解釈していた。ところが、実際には“reply”にしろ“response”にしろ“Re:”の語源としては俗説のようだ。 では、当の語源はなにか。いくつかのウエブサイトやパソコン関係の、辞書にあたってみたところでは、二つの説に帰結する。まず一つは英語の“

    返信メールの“Re”の意味と由来 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「普通においしい」の用法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第187号、通巻207号) 打ち合わせ、暑気払い、ノミュニケーション……。酒好きの人間には飲む口実は事欠かない。先日、知人と事がてら催した「勉強会」も生ビールで喉を潤しながらだったが、幹事役が完全な下戸(げこ)とあって、会の場はいつものような居酒屋ではなく小懐石料理の店。料理の味はどうだった?と尋ねられて「普通においしかった」と答えれば、今どきの若者風の感じに聞こえる。 「普通」という語は、改めて辞書を引くまでもなく、「ごくありふれていること。通常であること」「一般に、それが標準であること」(小学館『現代国語例解辞典』)の意。この語義を、上に挙げた懐石料理の感想にそのまま機械的に当てはめれば「ごくありふれた味」、言い換えれば「可もなく不可もなし」ということになるが、それだと実は、意を尽くしているとは言い難い。 生きのよい現代語辞典を標榜する『三省堂国語辞典』第6版は、「俗」と断りなが

    「普通においしい」の用法 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 国技とは - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第185号、通巻205号) 大相撲が賭博問題で揺らいでいる。大相撲と言えば国技という言葉が反射的に浮かぶ。親方や力士によるプロ野球賭博が社会問題化してからは「国技」という語が一層目につくようになった。日相撲協会が名古屋場所では天皇賜杯などの表彰を辞退する方針を決めたことについて、横綱の白鵬が今月8日、「なにか、自分たちの手で国技をつぶすのではないかという気がします。この国唯一の国技を」と発言したのは、その一例だ。 日の国技は大相撲。ほとんどの日人にとってそれが常識化している。しかし、法律など公的な文書にきちんとした根拠が明記されているわけではない。そもそも、国技という定義自体が必ずしも明確でない。国語辞典の定義の代表として岩波書店『広辞苑』第6版を挙げると「その国特有の技芸。一国の代表的な競技。日の相撲など」としている程度だ。となると、相撲以外でも、たとえば、茶道や華道、歌舞伎、

    国技とは - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2010/07/21
    相撲が日本の「国技」と呼ばれたのは明治40年代らしい。
  • たかが数字、されど数字。一筋縄でいかぬ日本語習得 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第181号、通巻201号) 世界中でどの言語が難しいか。一般的にある言語を習得する難易度は、母語との言語学的近縁関係の差によるところが大きい。英語話者ならドイツ語を学ぶのは易しいだろうが、フランス語となると少し難しくなるのではないだろうか。しかし、フランス話者だとイタリア語を学ぶのはさほど難しくあるまい、と推測がつく。ただ、その難易の差は、日人から見ればほんのわずかだろう。なぜなら上に挙げた言語は同じ系統の語族に属しているからだ。 ここに、外交官の語学専門家を育てる米国務省の担当部局のデータがある。英語を母語とする者がある外国語を日常的なコミュニケーションにほとんど不自由しないレベルに達するまでの習得期間を示したものだ《注》。 それによれば、1)授業時間23週(575時間〜600時間)のカテゴリー1(英語と密接な言語)に属するのが、デンマーク語、スペイン語など、2)44週(1100時間

    たかが数字、されど数字。一筋縄でいかぬ日本語習得 - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
  • 「“ヘボン”とは私のこと?」と“ヘップバーン” - 言語郎-B級「高等遊民」の妄言

    (第178号、通巻198号) 横浜が開港して150周年を迎えた昨年、横浜市は「Y150」と銘打って記念日の6月2日を中心に様々なイベントを開催したが、歴史を振り返れば、開港してわずか4カ月余の1859年10月17日、日文化教育、宗教、医療など多方面に大きな足跡を残したJ.C.ヘボン博士が来日した。その業績の中でも特筆すべきなのは、我が国初の格的な英語辞書『和英語林集成』の編纂(さん)である。 いわゆるヘボン式ローマ字は、米国人の彼が和英辞典を作るにあたって日語を表記すのに用いたアルファベットが基になっている。神奈川県がパスポート申請者の記入参考用に出しているホームページ《注》のローマ字表に従えば、「し」を“si”ではなく“shi”、撥音の「ん」はたいていの場合“n”と表記するが、“b”“m”“p”の前に限っては“m”にし、“shimbun”(新聞)、“homma”(間)、“sa

    「“ヘボン”とは私のこと?」と“ヘップバーン” - 言語郎-B級「高等遊民」の妄言
  • 北の「湘南」、数学界の「ノーベル賞」、東洋の「サンモリッツ」…… - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言

    (第172号、通巻192号) 前回のブログについて「内容はともかく、着眼点がおもしろかった」と知り合いからのメールにあった。そのおだてに乗って今回は「小京都」「小江戸」の材料集めで拾った小話をいくつか並べてみよう。ほとんどは、家の名前が有名であり、なおかつ誰もが具体的なイメージを浮かべやすい、という共通項があるが、中には家を上回る例もある。 【みちのくの小京都】。秋田の角館である。秋田の旧藩主である佐竹藩主の分家(佐竹北家)の地だが《注1》、当主の実家が京都の公家出身。京都から嫁を迎え入れたり、養子縁組みしたり、と昔から京都と縁が深く、町並みや地名にも京にちなんだものが少なくない。 【北の鎌倉】。建長寺、円覚寺などの名刹があるJR横須賀線の「北鎌倉」はれっきとした鎌倉であるが、こちらは「北」と「鎌倉」の間に「の」が入る。今はさほど聞かれなくなったが、かつて千葉県の我孫子は「北の鎌倉」と

    北の「湘南」、数学界の「ノーベル賞」、東洋の「サンモリッツ」…… - 言語郎−B級「高等遊民」の妄言
    kanimaster
    kanimaster 2010/04/21
    面白い。