(第172号、通巻192号) 前回のブログについて「内容はともかく、着眼点がおもしろかった」と知り合いからのメールにあった。そのおだてに乗って今回は「小京都」「小江戸」の材料集めで拾った小話をいくつか並べてみよう。ほとんどは、本家の名前が有名であり、なおかつ誰もが具体的なイメージを浮かべやすい、という共通項があるが、中には本家を上回る例もある。 【みちのくの小京都】。秋田の角館である。秋田の旧藩主である佐竹藩主の分家(佐竹北家)の地だが《注1》、当主の実家が京都の公家出身。京都から嫁を迎え入れたり、養子縁組みしたり、と昔から京都と縁が深く、町並みや地名にも京にちなんだものが少なくない。 【北の鎌倉】。建長寺、円覚寺などの名刹があるJR横須賀線の「北鎌倉」はれっきとした鎌倉であるが、こちらは「北」と「鎌倉」の間に「の」が入る。今はさほど聞かれなくなったが、かつて千葉県の我孫子は「北の鎌倉」と