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ブックマーク / mari777.hatenadiary.jp (13)

  • 1人称の表記 - 北烏山だより

    翻訳の仕事をしていた頃、月に2〜3、多いときは5以上、「リーディング」という仕事を引き受けていた。 翻訳出版される前の原書やときにはプルーフと呼ばれるタイプ原稿を読み、 A4用紙で10枚程度のあらすじと評価をまとめる仕事だ。 小説の翻訳はもちろん、小説のリーディングをまとめるときにも、 いつも最初に考えるのは、英語の1人称"I"を、なんと訳すか、ということだった。 言うまでもなく日語の1人称はほんとうに豊富で、ごく一般的なものだけでも、 私、わたし、わたくし、僕、ぼく、俺、おれ、などがあり、 さらに、ちょっと変わったところで、それぞれのカタカナバージョン(ワタシ、ワタクシ、ボク、オレ)や、 わし、ワシ、吾輩、あたい、さらに、「あゆみはね……」という具合に自分の名前をそのまま使うケースなど、 ほんとうにいろいろなバリエーションの中から、選ぶことができる。というか、選ばなくてはならない。

    1人称の表記 - 北烏山だより
  • エンタテインメント読書三昧 - 北烏山だより

    先週は、ふと思い立って売れ筋文庫を3作5冊を一気読み。 悪人(上) (朝日文庫) 作者: 吉田修一出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/11/06メディア: 文庫購入: 15人 クリック: 181回この商品を含むブログ (203件) を見る悪人(下) (朝日文庫) 作者: 吉田修一出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/11/06メディア: 文庫購入: 14人 クリック: 86回この商品を含むブログ (169件) を見る星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫) 作者: 村山由佳出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/01/10メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 61回この商品を含むブログ (143件) を見る魂萌え!〔上〕 (新潮文庫) 作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/11/28メディア: 文庫

    エンタテインメント読書三昧 - 北烏山だより
    kanimaster
    kanimaster 2010/09/14
    ドロドロした小説のレビュー。
  • 『百年の孤独』読了ほか - 北烏山だより

    このままブログをやめてしまうのか? というくらい長いこと更新をさぼってしまった。 こんな個人的なブログでも、しばらく書かないと書き方を忘れるというか、 書くことへのハードルがどんどんあがってしまって、 書き始めるのがなかなかしんどくなる。 ましてや紀伊国屋の書評ブログのようなちゃんとしたブログとかは、 いったん間があいてしまうと再開するまでに相当な努力を要するのだろう。 それはわかっているのだけれど、楽しみにしている書評者が更新をしてくれないと、読者としてはがっかりだ。 ええ〜?!というような、書評とはとても言えないような、誤字脱字だらけの文章が載っていたりすると、 やっぱりウェブじゃなくて新聞や雑誌の書評のほうがいいのかなあ…なんて、つい思ってしまったりして。 それはともかく、自分のブログについては初心に戻って、 を読了したらそのことだけは例外をつくらずまめに書く、というのだけは実行し

    『百年の孤独』読了ほか - 北烏山だより
    kanimaster
    kanimaster 2010/07/01
    『百年の孤独』 そのうち、読み返してみよう。
  • 「僕」は恋愛用語? - 北烏山だより

    小谷野先生の新刊、昨夜おそくに読み始め、一気に読了。 中島敦殺人事件 作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 論創社発売日: 2009/12/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 22回この商品を含むブログ (10件) を見る「宮沢賢治殺人事件」も読んだし、わたしの仕事は中島敦を「大作家」扱いしている張人みたいなものなので、 そういう興味で読み始めた。 でも、最後まで読んで印象に残ったのは、随所に散りばめられている文学についてのウンチクより、 赤裸々に描かれる象牙の塔の実情より、 主人公の二人の、なんとも初々しい恋愛模様だったりする。 この二人が恋に落ちていくさまは、ありきたりと言えばありきたり、 どこにでもころがっていそうな話だ。 だからこそ、同世代のわたしにとっては、なんともいえない共感をさそう。 たとえばこの中で、二人がまだ恋愛関係におちいる前に、雑談の中で主人公の男が、 「

    「僕」は恋愛用語? - 北烏山だより
    kanimaster
    kanimaster 2009/12/29
    『中島敦殺人事件』のレビュー。
  • キンドルを使ってみた - 北烏山だより

    先週の土曜日、アマゾンの電子書籍リーダー、「キンドル」が届いた。 いやあ、おもしろい。 この「おもしろい」っていうのが曲者で、「便利だ」「役に立つ」というのとはちょっと違う。 ただ、ものすごくおもしろい新型のおもちゃ、って感じで、 土曜日の夜からずっと暇さえあればこの「キンドル」を、こちょこちょいじって楽しんでいる。 まず、評判どおり、画面はものすごく見やすい。 PCの画面のような、目が疲れる感じはないし、喫茶店などやや薄暗いところでも、十分に読める。 「見やすさ」という点では、紙のと遜色ない。 読んでいる間、紙を押さえる必要がないので、ペーパーバックより読みやすいように思う。 amazon.comでクレジットカードの登録をしてしまえば、 電源をいれてすぐ、買い物ができる。 新聞・雑誌は14日間の無料試読が、 書籍は1章分の試し読みができるので、 気楽にあれこれとトライできるのも魅力。

    キンドルを使ってみた - 北烏山だより
  • 里帰りと英文学会 - 北烏山だより

    土曜日はうにをめあてに里帰り。 日曜日は野崎さんめあてに英文学会。 移動時間や朝晩は一人で過ごすことが多く、リフレッシュにもなったし、 これからのことをいろいろ考える、いい時間を持つことにもなった。 家族と最近読んだについて話す。 我が家は驚くほど会話の多い家なのだけれど、話題の7割はべ物の話で、 2割が旅行、残りの1割がその他、というくらいの割合。 その残りの1割の中で、比較的よく話題になるのがの話なのだが、 皆、それぞれに好みもアプローチもまるで違うので、ほええ、となることが多い。 たとえば昨日は、母が「村上春樹の新作はどう?」と聞いてきた。 母は昨年はじめて『ノルウェイの森』を読み、すっかり心酔して、わたしに、 「次は何を読めばいいかしら?」と聞いてきたので、 「初期の作品や短編集を読んだら? 『海辺のカフカ』はいまいち」と言っておいた。 そうしたら早速、あれこれ読んだようで、

    里帰りと英文学会 - 北烏山だより
  • 文学作品を読むということ - 北烏山だより

    ここのところあまり読書がはかどらず、ちゃんと読了した(書籍)は、 ベネット『やんごとなき読者』と、小谷野敦『「こころ」は当に名作か』の2冊。 あと、河出の世界文学全集で、エリアーデ『マイトレイ』も、さっき読了。 これについては、モラヴィア『軽蔑』も読み終えてから、感想を書くつもり。 まず、『やんごとなき読者』。 やんごとなき読者 作者: アランベネット,市川恵里出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/03/11メディア: 単行購入: 4人 クリック: 78回この商品を含むブログ (62件) を見る前にもちらっと書いたけれど、残念ながらわたしの知識が足りなくて、全編にちりばめられている(らしき)ユーモアが、 いまひとつ理解できていないように思う。 かといって、固有名詞をネットで調べながら読む、なんて無粋な読み方はしたくないし……。 解説にあるオブザーヴァーの書評人生を変え、視野

    文学作品を読むということ - 北烏山だより
    kanimaster
    kanimaster 2009/05/18
    『「こころ」は本当に名作か』
  • 昼時のケンタッキーにて - 北烏山だより

    今日は朝から近所の図書館に行き、かなり乱暴なの選択作業をする。 自分のしている仕事の精度の低さにげんなりしつつ、 やるしかないのだと自分に言い聞かせ、 それでもなんとか精度をあげられないものかと、 知っている限りの最高の助っ人に応援を頼んだ。 仕事が山積みなので午後いちには会社に着かなくてはならず、 でも朝からなにもべていなかったので、とりあえずケンタッキーに入った。 そこで、ちょっとショックな出来事があった。 わたしの席の隣のブースに、フィリピン系だと思うが外国人の母親と、 小学校1年生くらいの女の子が座っていた。 母親は携帯電話を片手に、かなり大きな声で、わたしにはわからない言語で話している。 女の子は退屈なのだろう、いすの上に立ち上がって、レジや厨房のほうをのぞきこんだり、 いすの上で体操のようなことをしたりしている。 おどろいたことに、女の子は汚れたのまま、いすの上に立ち上が

    昼時のケンタッキーにて - 北烏山だより
  • 京都で『アーサー・ウェイリー「源氏物語」の翻訳者』を読む - 北烏山だより

    正確には東京―京都―大阪―東京と読み継いで、 同居人が深夜に帰宅した(おかげで?)日曜日の未明、 とうとう、読了。 アーサー・ウェイリー?『源氏物語』の翻訳者 作者: 平川祐弘出版社/メーカー: 白水社発売日: 2008/11/11メディア: 単行 クリック: 17回この商品を含むブログ (12件) を見る感想。読んでよかった。 一冊をこんなに時間をかけて読了したのは、もしかしたら初めてかってくらい、時間がかかったけど、 でも、苦労して最後まで読んで、一応、英文も古文もちゃんと読んで、ほんとによかった。 このの魅力をひとことで言うと(って、かなり乱暴な話だけど)、 かかわっている三人(紫式部、アーサー・ウェイリー、平川祐弘)がそれぞれに偉大で、 後者二人は対象に深い愛情を注ぎつつ、 驚異的なまでに深く広く、大胆かつ緻密に取り組んでいる、ということ。 著者がこのの中で繰り返し述べている

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  • 『本格小説』読了 - 北烏山だより

    だいぶ更新が滞ってしまった。 先週のはじめごろに、「おもしろかったあ!」の声とともに、水村美苗『小説』読了。 ただ、下敷きにしているというブロンテの『嵐が丘』を読んだときもそうだったのだけれど、 ヒースクリフにあたる強烈なヒーロー、東太郎には、まったくひかれなかった。 これは単に好みの問題か? でも、ヒースクリフにひかれなくても『嵐が丘』がおもしろかったのと同じように、 この『小説』は、小説としての仕掛けと、会話や情景描写の細かいところが、 とてもよくできていると思う。 ちょっと、いや、だいぶあざといところもあるので、 これをうぇっ、と思ってしまうと、おもしろく読めない。 戦後の数十年間の日の「格差社会」を、デフォルメして滑稽に描いていて、 目のつけどころのイジワルさは、小説好きの女性ならでは、だと思うし、 もしかしたら作者は怒るかもしれないけれど、 この作品はとてもよくできた通

    『本格小説』読了 - 北烏山だより
    kanimaster
    kanimaster 2008/11/26
    電球を取り換える、という行動について。
  • 昭和の女の休日 - 北烏山だより

    水村美苗『小説』を読み始めた。ものすごくおもしろい。 その名のとおり、「小説らしい小説」だ。 ただ、この小説も、先日書いた同じ著者の日と同様、 いわゆる読書人の間でも、評価がだいぶ分かれているらしい。 おそろしく個人的・感覚的な分け方をすると、 わたしが「頭がいいなあ」と思って憧れ目線になるような人々は水村嫌い、 わたしが「ぐっとくるなあ」と思ってずぶずぶいくような人々は水村好き、 というような感じだ。 で、「頭がよくてすてきなうえに、ぐっとくる」というようなめちゃくちゃ好みのタイプの人は、 一定の距離を置きつつ、水村を語る、というところか。 などというのは他人には何の意味もない分け方なのだけれど、 先日ある方のブログのコメント欄で、あなたは昭和の小説に出てくるような人だ、と言われたので、 もうこの際、このブログ上では、わたしは昭和の女なのよと開き直って、 社会人として、あるいは

    昭和の女の休日 - 北烏山だより
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    kanimaster 2008/11/16
    水村美苗の賛否両論について。
  • 日本語が亡びるとき - 北烏山だより

    語が亡びるとき―英語の世紀の中で 作者: 水村美苗出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/11/05メディア: 単行購入: 169人 クリック: 12,657回この商品を含むブログ (459件) を見る読了。 すごいだった。途中、何箇所か、読みながらふるえた。 わたしがずっとこだわっていること、悩んでいること、迷っていることに、 唯一無二の答えではないけれど、 「こんなふうに考えてみたら」という示唆を、明らかに与えてくれた。 日語、英語、日文学、国語教育をとりまくさまざまな事象を、 学者の明晰さと小説家の説得力とをあわせもった文章で、 驚異的な粘り強さで綴っている。 もしかしたら、語学や文学や教育の専門家たちからすれば、 言い古された陳腐な議論、表現なのかもしれない。 けれども少なくとも現在のわたしには、このは最高にスリリングで、 今、いっしょに仕事をしているあの人や

    日本語が亡びるとき - 北烏山だより
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    kanimaster 2008/11/11
    翻訳家によるレビュー。「すごい本だった。途中、何箇所か、読みながらふるえた。」
  • それを個性とはよばない - 北烏山だより

    中学で国語を教えていたころ、時折、保護者から言われた。 「うちの子は個性的なので、先生の読みとはちがっていて、テストで○がもらえなくて」 そのたびに、それは個性とはよばないのです、誤読しているのです、と思った。 いうまでもなく、ここで言っている「先生の読み」とは、 この作品はここで感動しなくちゃいけない、とか、 ここからこういう道徳的な価値を見出さなくちゃいけない、という話では断じてない。 この作品は、当然、こう読めなくてはいけない、ということは、 たとえ文にハッキリ書いていなくても、厳然としてある、とわたしは思っている。 そこのところが読み取れていない、ということは、 国語力、読解力が不足している、ということなので、 そこでとんちんかんなことを言うのは、「個性」でもなんでもない。 そういう部分に対して、 「なるほど、おもしろい見方だね」と言って肯定していくことは、教育ではない。 それが

    それを個性とはよばない - 北烏山だより
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