歩くというのは非常に困難な行為だ。 見てわかる通り人体は 頭部が異様に肥大化しており、 非常にアンバランスな作りとなっている。 こんなものを二足歩行させようというのは、 自然にも万有引力にも反したことだ。 もっとアザラシとかノザラシとか そういうものを見習った方がいい。 人体は歩くことに向いていないのだ。 だが、時に人は不条理と 向き合わなければならないことがある。 今日の私が良い例だ。 私はつい先日歩くことを 覚えたばかりだというのに、 散歩を命じられたのだ。 私はこれほど非人道的な目に これまで出逢ったことがない。 だが多分、これが悟りに至るための 修行というやつだろう。 私は涙を惜しんで苦行に耐えた。 しかし、いくら私が周りから仏と 呼ばれていたとしても、 我慢には限度というものがある。 10分に及ぶ長期の歩行は、 私の足腰を致命的に損傷させ、 命の灯は消える間近であった。 そしても