ブックマーク / yoshitakaoka.hatenablog.com (33)

  • 残った欠片との別れ  - 想像は終わらない

    雪が降った木曜の朝8時、ブラックももひきをはいた私は、リクライニングチェアーに腰掛けて、口を大きく開いていた。 目の前にはマスクをしたインド系歯科医。 彼のタレ目に見守られ、これでもかとリピートされるクリスマスソングに包まれながら、残り1になっていた私の前歯は勢いよく引き抜かれた。 たくさん打たれた麻酔のせいで痛みはなかったが、歯がなくなった後、何とも言い表せない寂しさを感じた。 診察が終わってトイレに寄った私は、口をニカッとあけて鏡を見た。 何だかなぁ、という気持ちが心を覆う。 こんな羽目になった原因は分かっている。しかし、その時の私は、30代で全ての前歯とさよならすることになるとは思ってもいなかった。 私の前歯は、入れ歯だ。 抜き差しするタイプや、両脇の歯で支えるブリッジタイプではなく(支える歯が欠けているため、不可能)、口内の形状に合わせて、上の歯茎にカパッとはめる形をとっている。

    残った欠片との別れ  - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/12/10
    まさかのキャンディ事件!「もう、踏ん張らなくていいよ」の言葉に思わずじ~んとしてしまいました。ミチコさんの林檎の絵、ついこの間のような気がしているのに、何だか懐かしいです。
  • 三つのお知らせ - 想像は終わらない

    皆様、こんにちは。 今回は、三つのお知らせがあります。 まず、一つ目なのですが、Amazon Kindle ストアで電子書籍「今川焼きとナポレオン」を出版しました。 以下が、あらすじの書かれている商品ページになります。 今川焼きとナポレオン 作者: 高岡ヨシ 発売日: 2018/07/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 日、7月28日(土)から8月2日(木)の午後4時まで、このの無料キャンペーンを行います。 こちらは、自分の最初の作品である「五厘クラブ」のアナザーストーリーです。お互いの作品世界は繋がっているのですが、どちらの話も個別に読めるようになっております。 ただ、どちらか片方よりも、両方の物語を読んで頂けると更に楽しめると思いますので、「五厘クラブ」の方も上記と同じ期間で無料キャンペーンを行うことにしました。 是非、この機会にダウンロードしてみて下さい

    三つのお知らせ - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/07/30
    先日のTwitterを拝見し、きっとまた何かが動き出すのかなぁと思っていました。ヨシさんの言葉に、いつも背中を押されているわたしです。頑張ってくださいね。応援しています。
  • 12年かかって見た景色 - 想像は終わらない

    12年かかって見た景色。 12年前。 お金も、仕事も、居場所もなかった。 12年前。 「柱もねぇ、壁もねぇ、床板まともにはまってねぇ」幾三ハウスから始まった生活。 ダンボールをタンスにし、結婚記念日にウェンディーズのバーガーセットをべていた。 逃げてきた分、1歩1歩が重かった12年。 日が落ちて、人が少なくなった街を歩く。 塔の上ではためくメープルフラッグを眺めている時、頭にあったのは、泣きながら空のスーツケースを投げつけられた日だった。 時間が進まない、病院の長い廊下。 受け取られなかった手紙。 灯りがつかない部屋。 馴染まない水を飲んで、何とか笑顔を浮かべていた日々が浮かんでは消えた。 暮れ行く街に向かい、手を合わせる。 ありがたいことに、もう生きるか死ぬかじゃない。 12年かかって見た景色。 12年かけて固めた地盤。 踏み込んだ足を弾く堅さがあれば、描いた通りに跳んでいける。 全て

    12年かかって見た景色 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/05/25
    大切なものを大切にして一歩踏み出す勇気。凄いな、ヨシさん。素晴らしい景色をみせてくれてありがとう。夕焼け空、あまりの美しさに心が洗われるようです。
  • 透明な子 - 想像は終わらない

    夜を照らす境内の提灯に、ラムネの瓶の中で踊るビー玉。 台風が過ぎた後に梅雨が明け、街頭に浴衣姿の人影を見かける頃になると、毎年、忘れられない記憶が蘇る。 近所の神社で催される盆踊りに初めて参加したあの夏、私は小学三年生だった。 その年、出来れば顔を合わせたくない同級生グループが旅行のため地元からいなくなることを知っていた私は、隠していたお年玉を筆箱から取り出して、紅白の灯りが揺れる高台へと急いだ。 普段は人気のない神社に鳴り響く太鼓の拍子。 今まで網戸越しに聞こえていた世界と、目の前の光景との違いに圧倒された私は、踊りの輪を避けるように手水舎の傍に行き、地面に直接腰を下ろした。 気持ちが落ち着かず、裸電球が光る屋台を回る気にもなれずにぼんやりと揺れる浴衣を眺めていると、突然、後ろから肩を叩かれた。 「炭坑節、踊らないの?」 振り返ると、薄青のポロシャツにフレームの大きな眼鏡をかけた中年の男

    透明な子 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/05/05
    背筋がゾッとするストーリー。ヨシさんは「透明な子」なんかじゃない。
  • ご報告 - 想像は終わらない

    自身の作品である「歩けばいい」が Amazon × よしもとクリエイティブ・エージェンシーが主催する「原作開発プロジェクト」において優秀賞を受賞しました。 ドアが開き、橋がかかった事がとても嬉しいです。 作品を読んでくださった方々、選んでくださった方々、サポートしてくださった方々、そして表紙を描いてくださったミチコオノ氏、その全ての人たちに感謝します。 当に、ありがとうございました。 受賞の報告を受けた日、結果をまだ知らない自分は仕事帰りに嫁と合流し、テイクアウト専門のチャイニーズレストランへと向かっていました。 その日、普段よりも多くの料理を注文をした理由は、夕時に残念会をするためでした。 Amazonから結果報告がくるのならばこの日だろう、と自分の中で勝手に決めていた日が報告を受けた前日だったので、受賞の可能性はなくなったのだろうと悟り、大好きな海老ビーフンをべて気持ちをさっぱり

    ご報告 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/04/23
    ヨシさん、おめでとうございます!本当によかったですね。ミチコさんとのコラボ作品が素晴らしい結果になりわたしも嬉しいです。遠くから応援していますよ。次の作品も楽しみにしています。
  • 今が永遠に続きはしない - 想像は終わらない

    三月になりました。 相変わらず時間は駆け足です。 何というか、誰かに五時間ほどちょろまかされている錯覚に陥ります。 最近、子供の頃よく耳にしていたオノデン(秋葉原にある電気屋さん)のCMソングが頭の中で流れます。 宇宙的な歌詞で電気の世界を紹介している、あれです。 オノデンボーヤが未来と遊んでいる、あれです。 何かきっかけがあったわけではないのに、この曲が脳内でヘビーローテーションされている理由が分かりません。 こういった時の脳のメカニズムが知りたいです。 話は変わりますが、自分がここを離れている間、以前書いた詩を かこ (id:kozikokozirou)さんが漫画にして下さいました。 yoshitakaoka.hatenablog.com kozikokozirou.hatenablog.com とてもありがたく、当に嬉しかったです。 真っ暗の中にいる時、自分は何も見えませんでした。

    今が永遠に続きはしない - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2018/03/07
    ヨシさんのお人柄と、胸に響く文章が素晴らしい出会いを導いているのだと思います。かこさんとのコラボも、グッときました。素晴らしいです。これからも楽しみにしています。
  • 瞬間をください - 想像は終わらない

    何色でもいい 見た目はそれほど重要じゃない 変な服を着たっていいよ 君がそれを好きならばね 待ち合わせは駅の前 遅刻した埋め合わせは ハーゲンダッツでいいかな? 髪切った? 切ってない? ごめん ごめん セットが面倒なら 思い切って短くしたら? 別に金髪にしたって驚かないよ 似合っても似合わなくても 君が好きならそれでいい バスに乗ろうよ たまにはいいじゃない 友達の話とか 無理にしなくてもいいよ 人付き合いが苦手なのは 僕も同じだから ねぇ ってさ 夜明け前に2回鳴くよね? ずっと考えていたんだけど あれはきっと 彼らの「おやすみ」なんだよ 1回目は僕に言って 2回目は自分に言ってる 当のところは分からないけど そう考えてから 夜更かしの回数は減ったんだ ねぇ いま全く聞いてなかったでしょ? 視線が宙を舞ってたよ 例えそうでも構わない 君と居られるならそれでいい くだらない話の埋め合

    瞬間をください - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/10/28
    自分自身と向き合い前へ進むために、痛さや怒りを飲み込んだ自分を受け入れて、おいてけぼりで放ってた感情を迎えに行く…私もそんなときがあります。心が洗われるような素晴らしい風景。素敵な写真です。
  • 夏をやってない - 想像は終わらない

    ハッとして目を覚まし 通りに近い窓を開ける 緑を覆う色あせた枯れ葉 喉に飛び込む息は冷たい 薄く横に伸びる雲 縦に登れず空を這う 確かにここにあった夏 それなのに 僕は夏をやってない バケツに飛び込む手持ち花火 生み出す音が夜を鎮める 咲き終わりに残る白いライン 暗闇に写す向日葵の花びら もう 何年見ていない? 市営プールの帰り道 夕焼けに交わる塩素の匂い 天に浮かんだ七色の曼荼羅 オレンジの雲は何にでも化ける 灰色へと続く通学路 遠くに見える工場の煙 もう 何年帰っていない? 特別が日常になり 御馳走への距離が縮まる 不便や貧困を崇めない でも スイカに種があったっていい 僕は夏をやっていた 一人でいても 家に帰らなくても 僕は夏をやっていた 夜明け前に飛び出す国道 車の列をやり過ごし 瞬間を逃さずシャッターを押す 大した写真は撮れてない それでも そこには夏があった 制服を着替えて家を

    夏をやってない - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/10/22
    一生懸命に打ち込むほど 時間というものはあっという間に過ぎていくように感じます。逆立ち、もうしばらくやってないなぁ。
  • 「生きづらさ」というクソッタレ - 想像は終わらない

    難しい表現はいらない 簡単な言葉で伝えてくれ 物言わぬ羊の飼育法 それが道徳の正体か? 出来る限りはやってきた 疑問を持たずにやってきた モラルが楽園を作るんだろ? じゃあ 何でこんなに生きづらいんだ いじめに対して声を上げ 標的にされたら世話がない 記憶に彫られた墨が消えずに 誰かの言葉に反応する 手のひら返しがチラついて 真正面から人を見れない 善人 悪人 善人 悪人 人様の背中にシールを貼り 目線の動きを確認する バカみたいに勘ぐって バカみたいに夜を明かす ひねくれた考え 歪んだビジョン どうしようもないと言われても 望んで選んだ訳じゃない 前だけ向いてる人の波 過去に構ってはいられない 若気の至りという魔法 人の親になり時効成立 よくある話なのは分かってる でも そんな世の中クソらえだ 思いやりに助け合い 植えつけられた暗黙のルール 黙ってなぞって生きてたら 他人のケツばかりを

    「生きづらさ」というクソッタレ - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/10/06
    生きやすい世の中はあるのかな…。もがきながらも、そこから一歩踏み出そうとすることで強さや力に変わるのだろうと感じます。私も光の方へ…歩いていきたいです。
  • 友への伝言 - 想像は終わらない

    思えば不思議な関係だった 普段は口もきかなかった チャイムの合図で狩られる時間 終わりは意味を成さなかった 暗い階段の途中に射す光 窓から覗く中庭に射す光 同じ校内で息をしても そこに楽園はなかった お前はいつも下を向いて 指のささくれを取ってた 俺はいつでも下を向いて ただれた皮膚を摩ってた 適当に生み出し与えられた 滑稽で汚れたニックネーム 俺たちは三年契約のピエロ 特徴なんていらなかった 「どうだった?」 「今日はマシだった」 「どうだった?」 「今日はヒドかった」 僅かに重なる出入りの瞬間 窓のない壁を見ていた 魂と引き換えに学期を買って 春夏秋冬を過ごした 流れる風景と留まる想い 俺はお前を救えなかった 裂ける傷口と閉じる瞳 俺は俺をも救えなかった 消えずに浮かぶ 放課後のパレット お前もその色を見ているか? 今でもその色を見ているか? 俺たちはみんな犯罪者 自分殺しの常習者 腫

    友への伝言 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/09/23
    ヨシさんの言葉には、何か不思議なパワーがありますね。そして、いつも写真が素敵です。
  • 心の歌 - 想像は終わらない

    目隠しされても笑って歩く 俺の視界を奪っても 質だけは奪えない 触れられない いや 触れさせない いくらでも笑え いくらでも指をさせ 頭の数だけ増やしても お前の戯言は響かない 上だろうが下だろうが構わない 俺はとにかく進んでいく 昼が嫌なら夜を待て 光が嫌なら目を瞑れ 同じ場所を目指さなくていい 道から無理に外れなくてもいい どうしようもない環境の中で 不良にも犯罪者にもならずに生きてきた 「普通」に馴染めない毎日を どうにかこうにか乗り越えてきた こんなもんじゃない 俺が辿り着きたい場所は 今の景色で終わりじゃない あんただってそうだろ? 思い描いている舞台は まだまだこんなもんじゃないだろ? 誰かと誰かの悪意を並べて 群れて固まるのが望みじゃないだろ? もっと奥へいこう 同調が届かないずっと底まで イメージを超えて潜っていこう 生まれてきた訳を知りたい 煩悩に苛まれる理由を見つけた

    心の歌 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/08/27
    “電波の箱”がなければヨシさんと出会えなかったかもしれない。不思議な箱です。その箱に感謝します。
  • アーティフィシャル・フラワーズ 《後編》 - 想像は終わらない

    「だからよ、何でセリフを言うときに眉毛が上がるんだよ。それじゃあ演技が嘘くさくなっちまうじゃねぇか」 口に含んだ煙を上へ吐き出したチャーさんは、タバコの先をワタル君へと向けた。 「え? 上げてないですって! チャーさんの見間違えですよ。ていうか、細かすぎますよ。例え眉毛が上がっていても、誰も気にしませんて」 「バカやろう、お前は何にも分かってねぇな。話すたびに眉毛が上がる奴がいたら、どう考えたって怪しいだろ。俺が刑事だったら一発でお縄もんだぞ」 「花屋に刑事はいませんから。それに僕が演じるのは客であって、容疑者ではないです。ちょっとチャーさん、いったん僕の眉毛から離れませんか。話が全然先に進まないじゃないですか」 ワタル君は大きなあくびをひとつして、近くのベンチに座り込んだ。 誰もいない夜の公園。 園内の時計の針は、日付を跨ぐ準備をしている。 10時前にはセッちゃんの店を出たので、もうかれ

    アーティフィシャル・フラワーズ 《後編》 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/08/21
    自分にとって、本物も例え偽物だったとしても関係ないもの…あると思います。枯れずに輝き続ける花。永遠をイメージします。鮮やかなヒマワリとアイビーが、ストーリーに彩りを添えてとても印象的でした。
  • アーティフィシャル・フラワーズ 《前編》 - 想像は終わらない

    8時は越えたか? いや、まだ壁に光があるから、7時半過ぎか? だとしたら、2時半前に寝たとして、約5時間。 枕の横で背中を見せている電話をひっくり返し、手探りでホームボタンを押す。 ( 7:04) 7時4分。 勘弁してほしい。 最後の1杯。 あの冷や酒が余計だった。 (もったいねーから、終わらしちまいな) チャーさんが締めに勧める酒は、毎回無駄に後を引く。 自分の適量は分かってるのに、貧乏根性を出すから眠りが浅くなるんだ。 全くもって、自業自得。 せっかくの休みなのに、こんなに早く起きてどうする。 9時にセットしている目覚ましで起きたかった。5時間未満の睡眠では体に響く。 どういうメカニズムかは分からないが、35を超えた去年から、2度寝が出来ない体質になってしまった。 目を閉じ続けていれば、もう一度……とは考えない。 無駄な抵抗はしない。 起きる。 潔く、起きる。 コーヒーを飲むなら、ハム

    アーティフィシャル・フラワーズ 《前編》 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/08/16
    知らなくてもいい真実もある。自分が母親だったらどうするだろう。もしかしたら“自由に生きなさい”という意味で真実を伝えるのかもしれない。揺れ動く心情描写が見事です。後半が楽しみ。
  • 深海にあるもの - 想像は終わらない

    上へ登った 違う景色が見たかったから いつもとは違う選択をした 服が変わり 立場が変わり 呼び名が変わった 笑顔の挨拶 穏やかな声 湯気が出ているコーヒー 窓から差し込む光は眩しい でも この部屋は息をしていない 能力と肩書きは比例しない ここに来てそれを痛感した 時計が9時を指し 合図と共に曲がかかる 女王蜂に裸の王様 踊る僕らは蜜を運び 彼らはそれを平らげる 実力なんて関係ない 目立たぬように静かに踊り 流れにまかせて取り入るだけ 目尻に刻むシワの数は 浮かぶか沈むかの生命線 笑って 笑って 笑って この船に残りたいのなら 目を細めて口角を上げればいい 差し出すか? 差し出さないか? 手招きをする数を増やし 目を閉じた従者が選択を迫る 暑くも寒くもない部屋 委ねた先に待つものは 憂いを忘れた理想郷か 例えそうだとしても 僕は捨てない 何かを得るために 何かを捨てはしない 全部まとめて取

    深海にあるもの - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/07/30
    「熱くて冷たい線の向こうに」という表現がぴったりのお写真。「何かを得るために何かを捨てはしない」ヨシさんの熱い思いが伝わってきます。
  • ノスタルジア - 想像は終わらない

    引っ越す背中を強く押す 透き通った緋色の夕焼け 僕が歩いていたその道は 二度と戻らない道となる 借り物の街で見上げた星は 電車の窓に映った花火 めいっぱい腕を伸ばしても 決してこの手に掴めない 大洋ホエールズの帽子を被った 緑のクリームソーダのあの子 君は僕を覚えているかな 同じばかり履いていた 掃除をしない放課後のエース 僕は君を覚えているよ 新しい番号を書いた葉書 君に届かなかったのかな 電話が鳴り響くそのたびに 心を躍らせ走ったけど けっきょく声は聞けなかった 「また会えたら遊ぼう」と 君がくれたドンジャラの牌 とうとうゲームは成立しなかったね おーい おーい 僕は君を呼んでいる おーい おーい 過ぎ去った時間を呼んでいる ブルーハワイの扇風機 テレビの上で威張る東京タワー 君を想うとあの日が浮かぶ タブレットの魔法がなかった時代 「便利」は「距離」を超えなかった 手軽に素早く繋が

    ノスタルジア - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/07/21
    小学1年生で引っ越した自分を思い出しました。便利な時代になったけれど、そうじゃなかった子どもの頃の記憶は驚くほど鮮明です。
  • 答えてよ - 想像は終わらない

    僕はあなたを笑わない ずっと笑われてきたから 決してあなたを笑わない ねぇ もっと自由に踊ってよ 心置きなく 好きな円を描いて たとえ姿が見えなくても 背中に手を当てるから やりたいように息をして 僕はあなたをバカにしない ずっとバカにされてきたから 決してあなたをバカにしない ねぇ 感情をフィルターにかけないで 思ったことを口にして 雑踏が耳を貸さなくても あなたの声は 僕が聞くから 何処へでも飛んで行っていい 僕はあなたを縛らない 思うがままに振舞って あなたの帰る場所は いつだってここにある キッチンの灯りは消さないから 鍵穴は探さなくていいよ 立派になんてならなくていい 友達だっていなくてもいい 「普通」なんか捨てていい あなたが笑顔ならそれでいい ほら 夕の時間だ 好きだと言ってた唐揚げに アボガドとサーモンのサラダを付けたよ コーヒーはミルクだね? チョコレートも冷蔵庫に移し

    答えてよ - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/07/14
    何故だろう。ヨシさんになら何でも話せそうな気がする。きっと、ヨシさんの言葉に救われる人がたくさんいると思います。
  • 西口ターミナルと後ろ姿 - 想像は終わらない

    緑奥駅の西口改札を出て左に進み、エスカレーターを避けて長いスロープを歩いておりる。 地面から天井まで伸びる透明な窓が続く、緩やかな斜面。 日が完全に沈みきった後、このスロープから大きなバスターミナルを眺めるのが好きだった。 程よい暗さが溢れた色を隠し、等間隔に並んだ白いライトがコンクリートを浮かばせる。光に縁取られた半円の中を回る緑のバスはどこか未来的で、煩わしい現実を程よくぼかす。 僕はいつも、この場所から彼女の後ろ姿を見ていた。 スロープを半分ほど過ぎると見えてくる小さな噴水は、僕らがいつも待ち合わせをしていた場所。 肩に届かない髪、手に持った真っ赤なケリーバッグ。ベンチに腰を下ろさず、立って空を見ている彼女の背中が鮮明に浮かぶ。 カネコさんは、とても優しい人だった。 (名前で呼んでよ) 2歳年上の彼女からは事あるごとにそう言われていたが、くだらない感情に押し負けていた僕は、結局、最後

    西口ターミナルと後ろ姿 - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/07/08
    彼女のお陰で、今こうしてヨシさんの綴った言葉を目にすることができるのですね。感謝です。
  • いじめサバイバー - 想像は終わらない

    僕はサバイバー 生きるために背中を見せた いじめサバイバー 僕はサバイバー 立ち向かう勇気を持てなかった いじめサバイバー 僕は逃げた 生きていたいから 逃げ続けた 後ろを振り返らず 目を瞑りただ走った 出来るだけ遠くへ 手が届かないほど深くへ 追いつかれたくなかったから 要らないものは極力捨てた 先が見えなかったから 着の身着のままで 国を超えた ベットリと記憶に塗りつけられた 鮮明な痛みと悔しさ 対処する術が分からずに それらを怒りに変えて生きてきた 僕は僕の無くしたものを探している 殴られて抜けた歯は何処だ? 無理やり取られた金は何処にある? 家の鍵は? 剥ぎ取られた服は? 燃やされた髪の毛は? 割られた爪は? 青白くなる明け方に 何度もしつこく声を掛けるが 無くした時間は返事をしない シナリオを描く 赤い炎と銀の刃先 自尊心と虚栄心が 「復讐しろ」と心をつつく ダンベルを上げる 収

    いじめサバイバー - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/07/01
    ヨシさんの言葉はいつも力強いです。(^^)前を向いて生きる!
  • 衝動は、ここにいる - 想像は終わらない

    クリップで留めた感情は 夜を越えない 湧き上がる衝動と会話がしたいから 柔らかいクッションは取っ払った 遠慮なく飛び込む刺激は たまに痛いほどだけど とにかく朝を迎えたかった 喜怒哀楽に 邪と欲 そのままの形で出てきた思いに 自分の全てをぶつけたい 頭を強く揺さぶる曲に 深く引き込まれる文章 ハッと心をえぐる絵に 過去を連れてくる写真 胸の内側が溢れたなら 下手なステップで床を滑ろう 記憶がうまく収まらないなら 意味もなくハイウェイを飛ばそう 何かが背中をつつくなら 家の周りをグルグル回ろう 仕事帰りに見つけた景色を 追いかけたっていいんだ 大丈夫 ご飯の支度が遅れるだけだ 絵が描けないから文字を書く 音が作れないからストーリーを創る 大声で気持ちを叫ぶ代わりに 毎日たくさん写真を撮るよ あなたのことが大好きだから 親しみを込めて「友」と呼ぼう なぁ 友よ 衝動は息をしているか なぁ 友よ

    衝動は、ここにいる - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/06/23
    思いを表現できるということは素晴らしいことです。ヨシさん、いつも素敵な言葉をありがとう。
  • こんな場所が欲しかった - 想像は終わらない

    ずっと前から こんな場所が欲しかった ただ顔を合わせるだけでは 目にする事が出来ない世界 挨拶を交わすだけでは 晒してはくれない世界 何を思い 何を考え 何を表現するのか 頭と心にある世界を 電波に乗せて表に出し合い 生まれた感覚を交差させる ずっと前から こんな場所が欲しかった 自分とは違う言葉の文章 異なる思考で描かれた作品 粒子のスクリーンに溢れる模様は 幕の下りないロードショー はめるレンズが変わるから 写真を通して覗く景色も 全く別のものになる それらをこの目に出来るのは 決して当たり前の事ではなく 感情をくれるキャッチボールは 掛け替えのない瞬間だ 幾度となくスレ違い 分かり合えずに距離が離れ 時間を掛けてはまた近づき 弱さと引き換えに理解を引き出す 深夜のファミレス 帰りの駅蕎麦 慣れないカクテルを流し込み 初めて内側に触れられる そんなプロセスを踏まずとも 覗かせてもらえる

    こんな場所が欲しかった - 想像は終わらない
    kao-kao-n
    kao-kao-n 2017/06/04
    頭の中をのぞかせてもらうありがたさ、よく分かります!「庭の楓に手を合わせる」そんなヨシさんが素敵です。(今日のブログに押してくださったスターが手違いで消えてしまいました(泣))