フィンランド産「東郷ビール」と日露戦争 一独り歩きした歴史教材− 本 多 雄 伸 (日本大学職員) 1989(平成元)年学習指導要領が改訂され1992(平成4)年から施行された′ト学校社会科,歴 史分野では卑弥呼から野口英世に至る歴史上の人物42名が例示された。この中に軍人・東郷平八 郎が登場し,軍国主義教育の復活云々でマスコミを賑わしたのは記憶に新しし㌔ この指導要領では,明治中期から後期にかけて「大日本帝国憲法の発布,日清・日露の戦争,条 約改正などについて調べて,国力が次第に充実し,国際的地位が向上したこと」を学習させること になっていて,この中で日清・日露戦争を扱うのである。戦争の勝利が「国力が次第に充実し,国 際的地位が向上したこと」を学習するのに妥当かどうかは置いておいて.東郷平八郎の業績を語る エピソードとして出てきたのがフィンランド産「東郷ビール」または「トーゴービ…ル」