秦始皇帝陵(しんしこうていりょう)博物院(陝西省西安市)元院長の袁仲一(えんちゅういち)さん(89)は、兵士や馬をかたどった木製や陶製の俑(よう)(人形)が1974年に発見された当時を振り返る。袁さんは初代調査隊長を務めた兵馬俑研究の第一人者だ。 紀元前221年に中国を初めて統一した秦の始皇帝。その副葬品の大発見は、農民が井戸を掘っている際、たまたま陶製の人形のかけらを見つけたことがきっかけだった。陝西省考古研究所の職員だった袁さんは一報を受け「本当に興奮しました。ただ、等身大の大きさとは想像もしなかった」と振り返る。 兵士の俑はこれまでに約8000体が掘り出された。身長180〜190センチ台と大柄で表情は全て異なる。当初は黒、朱、緑、青、紫などを組み合わせて彩色されていた。しかし、等身大は秦代だけで、その前後の王朝で見つかった俑は小さなものばかりだった。