関脇玉鷲(34=片男波)が涙の初優勝だ。遠藤を突き落とし、ただ1人2敗を守って逃げ切った。34歳2カ月での初優勝は、年6場所制となった1958年以降で2番目の年長。初土俵から90場所は史上4位のスロー記録となった。 ◇ ◇ 気は優しくて力持ち-。「お相撲さん」のイメージ通りの言動が、玉鷲の最大の魅力だ。11年3月の東日本大震災を受けて、同6月に相撲協会が行った被災地巡回慰問での姿が印象的だった。被害の大きかった岩手・陸前高田市の高田小を訪れた際には、率先して子どもと触れ合った。そんな様子を写真に収めようとすると、4人の女の子を同時に抱きかかえ「あと2人は一緒に抱っこできるよ」とサービスのポーズ。そこで終わらず、子どもの抱っこを繰り返した。気付けば周囲には老若男女で人垣ができ、笑顔があふれていた。 一昨年11月の九州場所では、九州北部豪雨の被災者を思い、取組後に涙も見せた。同場所で片男波