エッセイ連載の第26回目です。 (連載は「何を見ても何かを思い出す」というマガジンにまとめてあります) 取材って、その分野で成功している人や、その世界にディープに入りこんでいる人にしがちだけど、それって、学校について学校の人気者に聞くようなことになってないかな? という疑問が…… 心だけでも旅しようと思ったら 旅行記が苦手だとずっと思っていた。 入院中、お見舞いで旅行の本をよくもらった。 病院のベッドの上で身動きできないのだから、せめて本で旅を楽しんではどうかということだ。 なるほどと思って、ありがたく読んでみた。 ところが、あまり面白いと思えなかった。 インドに行って、老人が黙ってすわっている横顔に崇高さを感じたり、アフリカで動物の目を見つめて気持ちが通じ合ったように思ったり、オーストラリアのエアーズロックで啓示を得たり……。 同じ病室の人から、昔は暴走族で派手なケンカをしたという話を延