2006年、第一次安倍政権下で行われた教育基本法の改訂。その内容は、教育への国家の介入の歯止めをなくし、「教育の目標」に道徳心や愛国心の養成を掲げるなど、日本の戦後教育そのものを否定するといってもよいものでした。そして2015年には、これまで教科外の「道徳の時間」として行われてきた道徳教育の「教科化」が決定。「いじめの防止」などがその理由として挙げられましたが、「愛国心」などを説いた戦前の「修身」教育の復活につながるのでは、との批判も多くあります。 その「道徳の教科化」が来春、全国の小学校でついに正式スタートします(中学校でも2019年度から開始)。教科化によって何が変わるのか、そこではどんな内容が教えられることになるのか、その問題点は──。教科書問題や国家の教育介入に警鐘を鳴らし続けてきた「子どもと教科書全国ネット」代表委員で、自身も長く家庭科教師として教壇に立った経験をもつ鶴田敦子さん