健常者はなぜ障害者のことを考えなければならないのか──。僕はいま、この命題について考えたい。すごく薄情な、思いやりに欠けた発言に聞こえるかもしれないが、現実には避けて通れない問題だと思うのだ。 なぜなら自分や自分の大切な人の人生だけでも、まあまあ苦しいのである。お金や時間が無限にあるなら話は違うかもしれないが、会ったこともない誰かの問題に首を突っ込むなんて、そう簡単にできることとは思えない。 自分が「当事者」ではないことから来る壁に困っている人は、僕以外にも結構いるんじゃなかろうか。たとえば、僕よりもいろいろな意味で余裕のある人が「障害者のことについて考えよう」となったとして。身近に障害者がいなければ、どう接していいのか、本当のところはよくわからないはずだ。 そんなもやもやを抱えつつ、今回は荒井裕樹さんに会いに行った。 荒井さんは、障害者をはじめとするマイノリティの自己表現が専門の文学研究
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