近代小学校の始まりとともに、子どもたちが学習に用いた代表的な筆記具が、石盤(石板とも書きます)です。日本最初の国語教科書、明治6年版『小学読本』には、「学校には、石盤と布(ふ)き物(石盤拭きのこと)と、書物あり」との一文があり、学校を象徴するものとして、石盤が教科書以上に重要であったことが分かります。 石盤は、ハンディタイプの黒板のようなもの。スレートという板状の粘板岩で、壊れないように木枠がついており、ろう石をペンシル状に加工した石筆で文字や数字を書いては布切れなどで消し、何度でも繰り返し使えました。18世紀末に欧米の学校で使われ始めたものを、明治5年に師範学校教師M. M. スコットがアメリカから取り寄せ、初等教育用に用いる方法を伝授したのが、日本の教育現場に導入された最初です。 ところで、貴重な和紙を消費することなく学習ができる工夫は、日本でも古くから見られました。例えば、二宮尊徳は