タグ

文芸と文学に関するkash06のブックマーク (12)

  • 秋の野原を行く - 関内関外日記

    おれはジャージを着て秋の野原をずったらずったら歩いていた。この世界はどうかしちまって、ジャージで心地よくすごせる季節が減ってるみたいなんだ。季節までおれに嫌がらせをするのか。おれは腹が立ってしまって、そこらへんの草をむしり取って、投げ捨てた。 「おい、きみ、草がかわいそうじゃないか」 いきなり話しかけられた。声の主をみてみると、一匹のタヌキがいた。戯画化されたタヌキなんかじゃない。『ダーウィンが来た!』の定点カメラに映ってるようなリアルなやつだった。 「リアルなタヌキが話すなよ」とおれ。 「それは問題じゃないんだ、命は大切にしなきゃいけない」とタヌキ。 煮てってやろうかと思ったが、あいにくおれのポケットにはiPhone 14 Proしか入っていなくて、タヌキを殺すのは無理だった。きみたちは素手でタヌキを殺せるか? 「もう、そういうのは聞き飽きたんだ。世界は絶望しているってなんでわからない

    秋の野原を行く - 関内関外日記
  • 綺麗事 - 肉芽観察記

    お腹が空いて おにぎりをべた まだお腹が空いていたので カップヌードルをべた 炭水化物過多で太っている あまりに太りすぎて腰が痛くなった 世界では よくわからない理由で よくわからないことが起きて うやわずやの人々が たくさんいるのだろう それを見ないことにして 生きているのか ネットで軍事侵攻がどうのと言っている 世界情勢に疎いので意味がわからなかった 意味を理解したとき 体が震えた なにをバカなことを、と 命は国で区切られてはいない 人は生まれたときから 多数の中のひとりではない 綺麗事を刻みつけよう ナイーブでもかまわない 希望の言葉を綴ろう 明日のために

    綺麗事 - 肉芽観察記
  • 【お恵み】ロシアから届いたウオッカ【ロシア】 - 関内関外日記

    ロシアからウオッカが届いた。お恵みものだ。ロシアからというのは嘘だ。そもそもアブソルート・ウオッカはスウェーデン製だ。だからといって嘘だといっていいのか。ロシア人は言う。「ロシアにウオッカがあるのではない。ウオッカがある場所がロシアである」と。となるとスウェーデンもロシアである。無論、ウオッカが届けられたここ神奈川県横浜市中区もロシアに違いない。おれはロシアでウオッカを飲む。まだ暑いとき、おれはウオッカを一冷凍庫に仕込んである。キンキンに冷えて、なおかつとろみのあるウオッカを飲む。あれだけキンキンに冷えて、とろみのある飲み物がほかにあるか? とろみのある飲物というのは、だいたい熱すぎて舌を火傷する系統のものばかりだ。ロシアではそんなことはない。シベリアの極寒で、おまえはとろみのあるウオッカを飲む。舌ではなく喉を焼く。そこがロシアだ。ウオッカを薄めてはいけない。ただ、ホワイト・ロシアンを

    【お恵み】ロシアから届いたウオッカ【ロシア】 - 関内関外日記
    kash06
    kash06 2021/11/13
    すごく好きな文章
  • すべての六月のはじまりに - 関内関外日記

    この地方も半月つづけて雨になった。湿気がまとわりつくようになった。露で濡れた芝生には寝っ転がることもできない。おれは一人、静かな部屋で椅子に座っていた。ただ、椅子に座っていた。人の気配もなかった。塩のスープと黒パンをとると、おれはまたベッドに戻った。ただ倦怠感だけがそこにはあった。寝るでもなく寝ないでもなく、おれはベッドに横たわって虚空のなかにあった。 コトン。 郵便受けになにか入る音がした。ドアに穴が開いているものが郵便受けというのならば。おれは冗談みたいにゆっくりとした動きで、ベッドから立ち上がり、ゆっくりとドアの方に向かった。そこには、梱包された二枚のマスクが落ちていた。こんな文明がない場所に、文明の切れ端が届いた。おれはおかしくなって、包みからマスクを取り出し、耳にひもをひっかけた。たしかにこれはマスクだ。マスクのにおいがする。これで外に出られるのだろうか。日光を浴びながら自転車

    すべての六月のはじまりに - 関内関外日記
  • 新コロナウイルス対策失業団戦記 - 関内関外日記

    その晩の夕のメニューは、いつもどおりのすいとんともやしの和え物だった。すいとんといっても、味のない、ぬるい塩スープに白いかたまりが浮かんでいるだけだ。 事の号令を待っていると、そこへ監視官が入ってきた。汚れてベージュ色になったマスクの紐を右側だけ外し、副首相スタイルでがなり始めた。 「今夜は、明日の迎撃戦をひかえた大切な夜である。ここ横浜は首都防衛の最後の盾だ! そこで、農林水産上級副大臣閣下より、ありがたいお気持ちを頂戴した! これを糧に、明日の戦闘に打ち勝てる!」 すると、薄汚れた白衣の給仕班が入ってきて、ソーシャル・ディスタンスを守っているぼくたちのプレートに、肉のかけらとメロンを置いていった。 「事、開始!」 ぼくたちはそれぞれの、ぼろぼろのマスクを外して、事を始めた。原則、会話は禁止されていたが、一人の男がつぶやいた。 「おれ、ステーキ・チェーンで働いていたからわかるんだ

    新コロナウイルス対策失業団戦記 - 関内関外日記
  • ぼくは『桜を見る会』に行った - 関内関外日記

    「祖父が倒れたらしいので、ちょっと村に帰って様子を見てきてくれないか」。東南アジアのどこかの工場で働いている父から連絡が入った。とりわけ忙しくもない大学生のぼくは、東京をあとにして、州最北の田舎に急いだ。季節は冬に入るころだった。 村は東京に比べてひどく寒かった。村は山の中にあった。雪はまだ降っていなかった。 祖父は床に伏せっていた。自分の記憶より、さらに老いて小さくなっていた。 「じっちゃ」と、ぼく。 「……おう、来たか」と、祖父。 ぼくの目を見据えると、こう切り出した。 「おまえに、頼みたいことがある。わしの代わりに、あの荷を『桜を見る会』に届けてくれんか……」 祖父は部屋の隅を指差した。そこには、きれいな織物に包まれた桐の箱が積み重ねられていた。 「曲げわっぱけ?」とぼく。 祖父は古くから続く曲げわっぱ職人の子に生まれた。祖父も小さなころから修行を積み、曲げわっぱ職人になった。その

    ぼくは『桜を見る会』に行った - 関内関外日記
    kash06
    kash06 2019/11/23
    すごい、力作だ! いつまでもこのままでいい。それは嘘、間違ってる。と続けたくなる。
  • クォ・ヴァディス - 肉芽観察記

    彼の人は 遠くへ去る 誰も追わない 私は恥じる 動かぬ足と 見るだけの目を 去る人は あまりにも 正しい 消えゆく 足跡は 沈黙を守る 私は走らなければいけない ついてゆくのではなく 別れを告げるために

    クォ・ヴァディス - 肉芽観察記
    kash06
    kash06 2019/09/13
    「正しさ」と自分との距離というのは、それ自体が感覚として正しい気がしている。「あなたはわたしの行くところに、今はついて来ることはできない。しかし、あとになってから、ついて来ることになろう」ヨハネ13:36
  • 花村萬月 on Twitter: "俺が駆け出しのころだ。見城がまだ角川書店にいた時代だ。角川書店担当Sに上司の見城を紹介された。編集者なのにチープな文学意識の抜けていない薄気味悪いマッチョだった。自費でつくったらしい阿部薫の本をわたされた。ま、それはいい。"

    俺が駆け出しのころだ。見城がまだ角川書店にいた時代だ。角川書店担当Sに上司の見城を紹介された。編集者なのにチープな文学意識の抜けていない薄気味悪いマッチョだった。自費でつくったらしい阿部薫のをわたされた。ま、それはいい。

    花村萬月 on Twitter: "俺が駆け出しのころだ。見城がまだ角川書店にいた時代だ。角川書店担当Sに上司の見城を紹介された。編集者なのにチープな文学意識の抜けていない薄気味悪いマッチョだった。自費でつくったらしい阿部薫の本をわたされた。ま、それはいい。"
  • わいせつ古代都市の宇宙 - 関内関外日記

    「……でっかいまーら、かなまらー!」 少し遠くから祭り囃子が聞こえる。 私は公園のベンチで、一人の老人と話していた。いや、老人というにはまだ若々しい。矍鑠、という言葉がふさわしいのであろうか、白髪をたたえたその男の眼光は鋭い。 「マラは……カネでなくてはならんのだよ」。 男はそう言った。 私は、わいせつ石膏の村の人間だ。わいせつ石膏を代々作り続けていた村の人間である。そのような村は、日各地の僻地に、そしてときには街のど真ん中に存在している。代々受け継いできたわいせつ石膏……女陰の石膏を作りつづける。そう宿命づけられた村、なのである。 しかし、私は村から出た。祖父の、父の跡を継ぎ、型職人になる道を選びたくはなかった。広い世界に出て、見聞を広めたい、そう思った。だれも引き止めるものはいなかった。去る者は追わず、それがわいせつ石膏の村の、昔からの気風だった。 そして、私はジャーナリストの端くれ

    わいせつ古代都市の宇宙 - 関内関外日記
  • 小説書いてることを打ち明けた友人から指摘されて驚いた。「その感覚ヤバイ」 #才能は後天的な側面もあるのかもしれない #小説家になろう #カクヨム

    真乃宮 @manomiya37 昔、小説書いてることを打ち明けた友人から指摘されて驚いたのが「文章を書けるのも凄いけど、その『こっちの表現の方がいいな』って感覚がやばい」ってこと。 自分でも誰かの文章でも、読んでて『引っかかり(違和感)』を覚えるのは紛れもなく書き手としての才能やと思うよ。

    小説書いてることを打ち明けた友人から指摘されて驚いた。「その感覚ヤバイ」 #才能は後天的な側面もあるのかもしれない #小説家になろう #カクヨム
    kash06
    kash06 2019/03/10
    精読者としての読みと執筆の関係や、職業で求められる文章と文学文芸の文章の違いなどは、確かにどれも三島由紀夫の『文章読本』で取り上げられたテーマでもあるなぁ
  • 編集を経なければ、文学は存在できない

    第8信(藤谷治から仲俣暁生へ) 仲俣暁生様 先日、仲俣さんから依頼された、「NovelJam」というイベントの審査員をやりました(実は「先日」どころではなく、これを書いている僕にとってはつい昨日のことなのですが)。 参加費を払って集まった数十人が、その場でお題を与えられ、2泊3日で短編小説を仕上げるだけでなく、それを電子書籍として販売すらする、という、まあ乱暴といっても過言でない、べらぼうなイベントです。2泊3日の3日目には僕たち審査員が朝から審査を始めるのですから、参加者には実質1日半ほどしか「小説の制作」には充てられません。 しかもそれはあくまでも「小説の制作」です。これが「執筆」ではないところがまた、このイベントの興味深くも暴力的な特徴です。参加者にとって「執筆」は、目的達成ではなく通過点でしかありません。彼らは執筆した小説を編集し、表紙(電子書籍でも「表紙」というのかどうかは知りま

    編集を経なければ、文学は存在できない
  • ものを記すの十年ひと昔実践的ガイド - illegal function call in 1980s

    今週のお題「プレゼントしたい」 書き上げてみたらなんだか愛着がわいてしまい、お題にのることにした。 川崎貴子さんの著作でおすすめがあったらだれか俺にプレゼントしてくれないかな。 * さて。 のっけから申し訳ないけれど、ひどい。この人の責任じゃない。近頃は多くがこんななんだ。多勝一なんて、持ち上げられすぎだよ。 www.kiyoichi-t.com 面と向かって1点、文句いうぞ。この記事の著者には、「文章力を向上させたい」まずこのフレーズから、違和感を感じてほしい。「文章力」「向上」「初心者」なんて中身のない、それでいて手垢のついた熟語で押してくるようでは、拙い。センスがよくない。 かくいう俺は、最低限「言葉遣い」「息遣い」「用字用語」「文法」「日語の由来」「修辞技法」といったふうに要素を見ることが必要だと思う派閥に属している。次に、それらを先達は、どうわがものにしてきたのかを例証する

    ものを記すの十年ひと昔実践的ガイド - illegal function call in 1980s
    kash06
    kash06 2018/10/14
    大人になってもスポーツが上手な人に、若い頃のトレーニングを尋ねると確かに鍛錬を重ねていたような、ものを記す事について。(いずれにしても自分の無鍛錬無学を恥じる
  • 1