近年、美術業界でセクハラや性被害を訴える声が上がっている。美術作家にはフリーランスで活動する人が多く、地位や権力が上の人による嫌がらせから守られにくい。また、作家の卵である美大生が受ける被害も深刻だ。一方、その状況に対して働きかける動きもある。女性アートコレクティブ「ひととひと」、そして「表現の現場調査団」に話を聞いた。(文:長瀬千雅/写真:後藤勝/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 美術作家の神谷絢栄さん(24)は、今年5~6月、都内で開かれたグループ展に、ある映像作品を出展した。タイトルは「わたしの話を語るあなたを聞く」。各4~7分の3つの映像からなる。映像から一部引用する。 「事件について話すのは辛くないですか? 大丈夫ですか?」 「大丈夫です」 「事件の前と後で一番変わってしまったことはなんですか?」 「社会への不信感が強まりました 事件化はできたけど 結局不起訴になっ