待機児童問題の解消が叫ばれるなか、住民の理解を得られずに、保育所の建設が難航するケースが相次いでいる。どうすれば子どもの居場所を確保できるのか。 さいたま市内で昨夏、ある保育所の建設計画が撤回された。来春、児童90人を受け入れる計画だったが、住民の反対を受けて事業者が断念した。 「静かな老後を過ごしたいと思って家を建てたのに」「送迎の車で住民が事故にあったらどうするのか」。昨夏の住民説明会では、こんな声が相次いだと事業者は言う。「保育所は迷惑施設としか思われていないのではないか」 住民側にも言い分がある。建設予定地周辺の道路は、乗用車同士がすれ違うのがやっと。歩道と車道の区別はない。住民の一人は「朝夕の通勤・通学時間帯は、約2キロ離れた駅への行き来で人通りが多い。送迎の車で混雑すれば、事故の危険性が高まる」と話す。 事業者は、駐車場を借りて路上駐車や渋滞を防ぐなどの案を示したが、折り合えな