日本語によるアメリカ音楽史として、もっとも信頼でき、かつ読み応えの あるもの。ただしアメリカ先住民や黒人音楽の歴史については、他の本に頼らなければならない。また1970年出版ということで、それ以前の時代までの記述 しかない。それでも現在絶版なのがとても惜しまれる。もう少し本がきれいなうちに表紙をデジタル化すべきだった。 第二次世界大戦中禁じられていたアメリカのクラシック音楽が戦後になっ て紹介され始めたのだが、おそらくこれが最初の単行本だろう。アメリカ音楽の歴史を 追ったものではなく、アメリカの国家や民謡(北米土人--現代ではこれは「アメリカ先住民」を指す差別用語になってしまうが--の音楽を含む)や「近代及 び現代のアメリカ作曲家」を簡単に紹介したものである。アメリカ作曲家の章は、ペインやチャドウィックといった「新ニューイングランド楽派」に始まり、ハ リスやコープランドで締めくくられる。絶