海外の名作文学の新訳を出版する動きが相次いでいる。新潮社は今月末、米国の作家カポーティの小説『冷血』を手始めに、10月にセルバンテス『ドン・キホーテ』、11月にナボコフ『ロリータ』を連続刊行。岩波文庫もモーム『月と六ペンス』の新訳を7月に出すなど、積極的な取り組みが目立つ。 新潮社の3作は、単行本として出した後、適当な時期に文庫版も訳を切り替える。「訳を新しくすると、今までと違う読者が生まれる。出版社の使命感のようなものもある」と語る。 一方、岩波文庫は数年前から文庫の年間販売部数を調べ、需要が大きい物について新訳を出すか検討している。2000年以降、チェーホフ『ワーニャおじさん』や、モーパッサン『脂肪のかたまり』など計19冊を出版した。「すぐ売れ行きに影響が出る訳ではないが、長いスパンで効果を考えたい」という。 新潮社から出た『冷血』は、米中西部の農村で大農場を営む一家4人が殺害された事