炭鉱記録画家山本作兵衛(1892〜1984)の絵画や日記など計697点が、福岡県田川市などの申請でユネスコの世界記憶遺産に国内で初めて登録されることが決まった。今月になって藤原道長の「御堂関白記」などの申請を決めた文部科学省は、自治体に先を越された形となり、波紋が広がっている。 記憶遺産は1992年にユネスコが始めた制度。文科省は2004年ごろ、国宝などの中から推薦を検討したが、文化庁側から「国宝の順位付けにつながるのは良くない」との慎重論が出て、選定を見送った。 ある政府高官は「文化庁は文化財を価値付けし、秩序を作ってきた。それを荒らされたくないという意識が出た」と指摘する。