ギュスターヴ・カイユボットは、モネ、ルノワール、ドガらとともに印象派の興隆を支えた同派を代表する画家です。 印象派の収集家として知られてきましたが、近年、とりわけ画家としての再評価の機運が高まってきました。 19世紀後半、変わりゆくパリの近代的な都市風景や風俗を柔らかな光にあふれる画面にとらえた彼は、 写真を彷彿とさせる写実的表現手法を駆使したという点で、印象派のなかでも特異な地位を占めています。 世界各地から集められた画家の代表作が集結する本展は、いまだ知られざる画家カイユボットの全貌を日本、 そしてアジアで初めて紹介する展覧会です。 ギュスターヴ・カイユボット(1848–1894)は、パリの裕福な実業家の家に生まれ、法律学校を卒業後、画家を志しました。アカデミズムの画家レオン・ボナのアトリエで学び、1873年にパリ国立美術学校に入学。おそらく、ボナの友人だったドガを通じ、モネやルノワー