中国北方で10世紀に成立した遼王朝で独自に使われ、多くが未解明の「契丹(きったん)文字」で書かれた本がロシアで見つかり、共同研究するロシア科学アカデミーと大谷大がこのほど記者会見して発表した。契丹文字が本の形で現存するのは唯一とみられ、研究グループは「今後、解読研究が広がるだろう」と貴重な史料発見の意義を強調した。 契丹文字と確認された本は縦27センチ、横19センチで、254ページ中128ページに漢字の草書体や行書体に似た文字が墨で縦書きされている。文字数は約1万5360字で、これまでに石碑や銅鏡などから見つかった契丹文字の合計(約1万5000字)にほぼ匹敵する分量だ。