前衛美術家として活躍し、後年は大作の油彩画を描いた画家の菊畑茂久馬(きくはた・もくま)氏が21日午後2時、肺炎のため福岡市内の病院で死去した。85歳。長崎市生まれ。葬儀・告別式は未定で、お別れの会を開く予定。 3歳で父親を亡くし、福岡市の警固中学校に通っていた15歳のときに母を亡くした。楽焼の絵付けの仕事をしながら我流で絵を描き始め、1957年に前衛美術集団「九州派」の旗揚げに参加。アカデミズムに対抗した読売アンデパンダン展などで、アスファルトを塗りつけた絵画や、丸太と大量の5円玉を使って性器に見立てた立体作品を発表し、注目を集めた。63年の「ルーレット」シリーズでは木の板に鮮やかなルーレットを描き、その上に廃材やオブジェを張り付けて「日本のポップアートの先駆け」と米国で評価された。 83年を皮切りに「天動説」と名づけた大作油彩画のシリーズを発表。絵の具を塗りつけ、盛り上げ、垂らすなど濃密