余震が続く中、藤田嗣治などの作品を壁から下ろして床に安置した熊本県立美術館の展示室。村上哲学芸課長は「今はこうしている方が安全だ」と説明する 写真を見る 九州では観測史上最大となる熊本地震で、余儀なく臨時休館にした文化施設が相次いだ。被災地の美術館では施設が損壊し、所蔵品も被害に遭った。それでも地震発生から1カ月近くたち、再開するところも出てきた。非常時にどう対応し、余震の不安を抱えながらこの事態をどう乗り越えようとしているのか。熊本市内の三つの美術館を訪ねた。 ■---■ 壊滅的な被害を受けた熊本城の一角にある県立美術館本館(1976年開館)の展示室に入ると、ルノワールや熊本で幼少期を過ごした藤田嗣治など著名画家の絵画が半透明の緩衝材に包まれて床に置かれていた。開館40周年記念で4月8日から開いていた「大熊本県立美術館展」の展示品だ。 「別の部屋で陶芸作品が転倒して割れたりしたが、