木村伊兵衛、土門拳、森山大道、荒木経惟から藤岡亜弥まで、日本写真史を駆動してきた力学のひとつはスナップという美学だった。そのスナップ美学の変遷と実態を多様な言説と具体的な写真作品を精査することで浮かび上がらせる、気鋭の研究者による写真研究の成果。 序 論 第1章 スナップショットの誕生:瞬間のイメージ 1 写真用語「snapshot」の登場 2 外来語としてのスナップショット 3 『写真芸術』とスナップショット 第2章 新興写真と小型カメラ:新たな視覚世界 1 スケッチ写真 2 ライカの登場と「新しい視覚」 3 異化と自然さ 第3章 被写意識と反演劇性:木村伊兵衛の肖像写真 1 木村伊兵衛の《文芸家肖像》 2 被写意識 3 スナップ美学と反演劇性 第4章 「道楽から実用へ」:戦時下のスナップ 1 街頭スナップというジャンル 2 窃視するアマチュア 3 スナップとプロパガンダ 第5章 スナッ