二十二日午前六時ごろ、神奈川県大磯町西小磯の「旧吉田茂邸」から出火、木造二階建ての母屋約千平方メートルが全焼した。けが人はなかった。玄関近くの二階の燃え方が激しく、火元とみられる。 大磯署によると、警備員が同五時半ごろから母屋や庭園などを巡回し、敷地内の警備室に戻って数分後に漏電の警報器が作動。母屋二階から煙が出ているのに気付いたという。母屋のドアや窓は施錠されていた。敷地の周囲は有刺鉄線(高さ約一・五メートル)などが張り巡らされている。文化財などに指定されておらず、母屋には火災報知機やスプリンクラー、防犯カメラは設置されていなかった。同署は漏電などによる失火と、放火の両面から出火原因を調べている。 母屋は総ひのき造りの数寄屋風建築。吉田茂元首相の養父が一八八四年に別荘として建てた。吉田元首相が戦後、大幅に増改築。多くの政治家が「大磯参り」をしたことで知られ、「吉田御殿」とも呼ばれた。孫の