常磐線の不通区間にある山下駅。駅舎は津波に襲われたまま放置され、線路には雑草が生い茂っている=7月26日、宮城県山元町 東日本大震災で津波被害を受けた東北のJR在来線は、全線開通の見通しが立っていない。駅舎やレール自体が流失するなど被害は甚大。加えて沿線自治体が検討する住宅の高台移転に併せ、ルート見直しを迫られる可能性があり、本格的な復旧作業に着手できない区間があるためだ。開通まで長期化するのは必至で、「人口の流出を招きかねない」と地元住民の危機感も高まっている。(斎藤秀之) ◎着工は復興計画待ち <延べ60キロ流失> 太平洋側のJR在来線の運休区間は、7路線で計335.3キロ=地図=。震災では既に復旧した分も含め駅舎23カ所、延べ60キロのレールが流失した。電柱のひび割れなども合わせると、被害総数は計1730カ所に及んだ。 JR東日本の清野智社長は4月の記者会見で「(在来線は)責任を