安倍晋三元首相(佐藤徳昭撮影)自民党の派閥パーティー裏金問題は、底なし沼のように所属議員を飲み込み続け、党を大きく揺るがしている。東京地検特捜部は全国から検事を集め、異例の50人態勢で捜査に当たっているというが、解せないことがある。それは、捜査を安倍晋三首相への検察の報復であるかのように解説する陰謀論が、しきりに流布されていることである。 例えば、9日配信のオンラインメディア「AERA dot.(アエラドット)」の記事「なぜ東京地検特捜部は『政治家』にメスを入れ始めたのか」は、安倍氏と特定の検事の関係に焦点を当てる。 《20年(令和2年)1月31日、政府は東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を6カ月延長する閣議決定を行った。黒川氏は安倍氏と近しいとされ「官邸の守護神」と呼ぶ関係者も少なくなかった。この定年延長は、黒川氏を検事総長にするために政府が強引に進めようとしているとの批判が上がった》