さだまさし氏日本人は危殆(きたい)に瀕している。 まず面倒な仕事を嫌い、汗をかいてまでの大変な仕事はしたがらない。僕は70歳を過ぎても汗をかいて面倒な仕事を続けているから胸を張って言うけれど、かつて「働かざる者喰うべからず」と言われた高度成長期の必死さは失せ、楽にお金を手に入れる方法ばかり考えているようで哀しい。 しかも休んでばかりいる。土曜、日曜が休みなら1年にざっと104日。祝日と振替(ふりかえ)休日で年20日。正月休みに盆休み、有給休暇を加えれば3日に1日はお休みという勘定だ。30年に及ぶデフレとの戦争に疲れ果て、給料が上がらないなら休んだ方がまし、という諦めか。頑張って働いても賃金が上がらないなら少しでもお金を多く呉(く)れる場所へさっさと転職する時代。人の技能や手腕は「我慢の上に咲く花」などという考え方はもう過去の遺物だろう。