各種手続きから押印を省く「はんこレス」が官民で広がっている。福岡市は10月までに全申請書類の約55%を押印不要とし、来年度には全体の7割に広げる。民間でも銀行口座開設や保険契約などで不要とする動きが拡大。押印が障壁の一つとなっているデジタル化やオンライン化を進めることで利便性を高めるとともに、行政や企業側の人手不足を補う狙いもある。一方で、日本に根付く「はんこ文化」が廃れることを憂う声も出ている。 「はんこを押したからといって(書類の記載内容が)本人の意思だという確証が取れるわけではない。その辺で買ってきて、ポンッと押せば誰でも使えるのだから」。福岡市の高島宗一郎市長は、はんこ依存への疑問を口にした。 「かつてはほぼ全ての申請で必要だった」(市担当者)という押印について、市は昨年度から必要性の見直しに着手した。約4200ある申請書のうち保育料等減免調書や妊婦健診助成金交付申請など約2300