障害を抱えた人々の身体感覚の研究などが高く評価される、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の伊藤亜紗さん。新著『体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉』は、体の観点から、技能習得に秘められたメカニズムに迫った。 ◆ ◆ ◆ ――これまで、障害を抱えた方の身体性など、いわば人が「できない」領域をめぐって研究を重ねてこられた伊藤さんが、今回なぜ「できる」メカニズムに関心をもったのでしょうか。 伊藤 もともとは、「できることは良いことだ」という能力主義的な社会の風潮に抗して、「できない」人だけが知っている価値観を提示するのが、私の研究の役割だと思っていました。実際、障害や病気を抱えた方々にお話を聞くと、たとえば目が見えない人の世界の捉え方や、片手がない人の体の使い方など、非常に豊かな未知の世界が広がっていたんですね。 だから、2017年頃から加わった理工系の研究者たちのチームのテー
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