昨年ブラジルで大発生し、今も感染が拡大しているジカウイルスは、さまざまな神経障害を引き起こすようだ。胎内で感染した新生児の小頭症もその一つ。頭が異常に小さく、脳の発達が遅れるまれな先天性障害である。 【フォトギャラリー】新技術「ゲノム編集」と遺伝子操作の最前線 蚊の遺伝子を操作して、感染症を媒介しないようにできないか。米カリフォルニア大学アーバイン校の分子遺伝学者アンソニー・ジェームズはこの課題に取り組んできたが、おおむね理論的な研究にとどまっていた。だが、CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)と呼ばれる革新的な遺伝子改変技術と、特定の遺伝子を子孫に伝えやすくする「遺伝子ドライブ」という技術の登場で、事態は一変する。両者を組み合わせることで、理論はにわかに現実味を帯びてきた。 クリスパーを使えば、ヒトを含めたほとんどの生物のゲノム(全遺伝情報)を迅速かつ正確に、望み通りに編集で
富士重工業が絶好調だ。「レガシィ アウトバック」や「フォレスター」のようなSUV(多目的スポーツ車)や4輪駆動車に絞る商品戦略、そして「安心と愉しさ」を打ち出すマーケティングが当たった結果、世界中で車の供給が追いつかないほど販売は好調だ。 同社の前身は1917年に設立された旧中島飛行機製作所にさかのぼる。ちょうど100周年目の2017年4月、社名を富士重工業からブランド名の「SUBARU」(スバルへ)と変更することを決めた。 社名変更を機にみえた富士重工業の危機感とは何か。吉永泰之社長が、東洋経済の取材に答えた。 ■ 「え、スバルと富士重工業って同じ会社なの?」 利益率世界トップに押し上げた吉永社長の経歴 ――社名を「スバル」へと変更する理由は何か? 海外に出張するとFuji Heavy Industries(富士重工業の英語名)と言っても分かってもらえない。昔はどちらも有名で
5月13日、政府は、一般住宅を旅行者の宿泊施設として有料で提供する「民泊の」全面解禁に向けた原案をまとめた。 それにともない、「民泊サービスのあり方に関する検討会」も、有識者を交えて昨年11月から10回を重ねていた関連する業界関係者からのヒアリングを5月いっぱいまでで終える。今後は、それらを元に、いわゆる旅館業法免除特区とは別の議論となる“全国的な民泊解禁”についてのルールが6月にはまとめられ、閣議決定を経て施行される運びだ。 突然の規制緩和の動きに、業界の一部は色めき立っているが、これに先立ち3月、”民泊先進国”フランスから宿泊業界団体代表らが訪れ、警鐘を鳴らしていた。これについては各媒体で既に報じられているが、そこで語られなかったもう一つの「民泊の不都合な真実」があった。 ◆世界一の観光立国からの「警鐘」 去る3月17日、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(以下、全旅連)の招
熾烈な総合格闘技の試合で、見事勝利を飾ったファイターが歓喜の雄叫びとともに、人差し指で天を指す――。良く見られる光景であるが、あるビデオゲームの世界ではこのポーズをムスリム(イスラム教徒)の選手がしていたことで、ちょっとした騒ぎになっている。 ■ムスリムの選手が十字を切っていた 2012年に巻き起こったビデオゲーム業界を舞台にしたスキャンダル“ゲーマーゲート問題”で、それまでの業界がいかに“白人男性”によって占められているかが浮き彫りになり、ビデオゲーム業界の自浄のために、多様な文化を取り込む“ダイバーシティ”が叫ばれるようになった。そして今日にいたるまで業界をあげての努力が続けられているが、それでもちょっと気を抜けば思わぬところに落とし穴が待ち構えているようだ。 「ボクはムスリムであって、キリスト教の洗礼も受けていない。お願いだから、EAスポーツはゲームの中のボクが試合に勝った後に
2014年6月に開かれたヒューマノイド(人型)ロボット「ペッパー(Pepper)」の発表会は、多方面から注目された。 ペッパーとともにステージに立った孫は「きょうは100年後、200年後、300年後の人々が、あの日が歴史的な日だと記憶する日になるかもしれません」と語っている。 しかし、ペッパーは突然現れたわけではない。10年に発表されたソフトバンクの「新30年ビジョン」では、ロボットの出現を農業革命、産業革命の次に続く情報革命だと、人類史上に位置づけている。そうすることで、「情報革命が起きるのは歴史の必然である」ということを聴衆に印象づけたのだ。 孫の有名な語録に「迷ったときほど遠くを見よ」があるが、30年後を描くには、前後300年の世界を考える必要があるという。 孫は11年度のソフトバンク新卒採用のための「孫正義ライブ2011」で、産業革命の段階的発展というスライドを使った。そこ
● 4月から7カンパニー制へ移行 トヨタが狙う成長路線の新機軸 トヨタ自動車が4月から製品群別の7カンパニー制度を導入する。7つのカンパニーとは、「先進技術開発カンパニー」「トヨタコンパクトカーカンパニー」「ミッドサイズヴィークルカンパニー」「CVカンパニー」「レクサスインターナショナルCo」「パワートレーンカンパニー」「コネクティッドカンパニー」だ。従来、機能軸の組織であった技術と生産技術を先行・量産で分け、各カンパニーに振り分けて、カンパニーごとにプレジデントを置き、責任と権限を集約することになった。 【詳細画像または表】 トヨタグループ内で車両の開発生産を担う車体メーカーも、各カンパニーに参画することになる。たとえばコンパクトカンパニーには、先に完全子会社となったダイハツも参画することになるだろうし、CVカンパニーには、トヨタ車体と日野自動車も噛んでくるだろう。トヨタグループのグ
東北出身のJリーガーに何ができるのか。鹿島・小笠原満男が語る、復興とサッカー 「いつまでも助けて、助けてっていうわけにはいかない」 人前に出るのは苦手で、話をするのも好きじゃない。そんなひとりのサッカー選手が、今も復興支援活動の先頭に立ち続けている。 【画像】支援活動を続ける小笠原満男のアクション 震災後、東北出身のJリーガー有志と共に任意団体「東北人魂」を結成した小笠原満男が、その5年間の歩みをふり返った。 ■サッカー選手だからできる支援もある インタビューの席に着くなり、小笠原満男はため息交じりにこう漏らした。 「正直、復興しているようには、とてもじゃないけど見えないですね。5年たってこれかぁ、っていう思いが強い。でも、逆に言えばそれほどの大きな被害だったってことなんですよね」 小笠原は高校進学とともに親元を離れ、岩手県沿岸部の大船渡市でサッカーに明け暮れる毎日を送った。 震
東京・世田谷の閑静な住宅街にひっそり佇む秘密基地。通称「世田谷ベース」は、高級スポーツカーから戦車の模型やモデルガンなどがビッシリ詰まった、所ジョージ(60)の事務所兼遊び場だ。
インスタグラムが、ミニ動画をループさせて、アクション満載のムービーを簡単に作れる新アプリ、「ブーメラン」をリリースした。スマホで撮影した写真をつなぎ、順送り・逆送り可能な1秒間のムービーとして再生するという、とてもシンプルなアプリだ。 4億人突破のインスタグラム 売上2000億円も視野に ムービーは縦長・横長の双方で制作が可能。ユーザーのカメラロールに自動的に保存され、インスタグラムや他のSNSで簡単にシェアすることができる。利用にあたりInstagramのアカウントは必要なく、誰でも手軽に簡単に使うことができる。ブーメランは、ツイッターが提供している6秒動画アプリ「Vine」やアップルのiPhone 6Sの新機能「ライブフォト」と似たサービスと言える。 インスタグラムはブログで、ブーメランを次のように紹介している。「友達がプールの飛込台からジャンプする瞬間を捉えれば、空中を行ったり来た
安保法案、“総裁選騒動”と、息つく暇もない日々を過ごす安倍晋三総理(60)。体調が気になるところだが、彼は今、ある健康法にハマっている。その名も、ハーバード発の「4-7-8呼吸法」。息が詰まる国会を、この呼吸法で生き抜いているというのだが……。 *** 9月3日、野田聖子前自民党総務会長は、55歳の誕生日を迎えたこの日も、総裁選出馬に向けて水面下で激しく動いていた。しかし、推薦人集めは難航。酒豪として知られ、普段は健康が売りの野田氏だが、気分がすぐれないバースデーとなったことは想像に難くない。実際、5日後、彼女は出馬断念へと追い込まれた。 一方、迎え撃つ安倍総理は、野田氏とは対照的に健康不安を指摘され続けてきたが、この日は上機嫌で「宴」に参加していた。午後6時半過ぎから、安倍総理の応援団である鳩山邦夫元法相率いる「きさらぎ会」の懇親会に出席していたのだ。「健康」と「気分」のねじれ現象
モバイル・インターネットはいよいよ「動画の時代」に突入した。そのため、視聴フォーマットは「タテ型」が主流となりつつあるという。アメリカで若者から絶大な支持を受ける3つのアプリ「Snapchat」「Periscope」「Meerkat」が、これまで誰も疑わなかった「ヨコ型動画」の独占状態を破ろうとしているのだ。 【詳細画像または表】 かつてスマートフォンで動画を見るには、いちいちヨコに倒す動作が必要だった。主流だった動画の規格「16:9」に、スマホの画面を最適化させるためだ。しかし、スマホをタテに持ったままで見られる「タテ型動画」のサービスが登場し始めたところ、たちまちブームとなる。スマホはタテに眺める方が自然だと、誰もが感じていたのだろう。 この衝撃的なムーブメントを引き起こしたのは若年層だ。急成長中の「タテ型動画」メッセンジャーアプリ「Snapchat」と、ライブ動画配信アプリ「Pe
人のゲノム(遺伝子)研究が、がん治療を変えつつある。異常なゲノムを見つけ出し、その変異に応じた薬を患者に届ける「個別化医療」への挑戦だ。 2013年初頭、東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターの宮野悟センター長は、片思いに胸を焦がしていた。お相手は、対話が知的で洞察力に富み、たゆまぬ向上心も魅力だ。気にかかったのは、ユーモアに欠けるところくらい──。 宮野さんが心ひかれたその“人”の名は「ワトソン」。米IBMが開発した最新のコンピューターシステムである。 「ひと目見て、これは、がん研究に使えるなと思ったんです」 ワトソンの実体は、人間が日常会話で使う自然言語を理解するクラウド上のソフトウェアだ。単に自然言語を扱えるだけでなく、導いた答えが妥当かどうか自ら検証し、学習していく。 したがって学習するデータをアレンジすれば、さまざまな専門知識を持ったワトソンを生み出せる。宮野さんが
2014年末ぐらいから北米におけるソニー製テレビの売り上げが急伸しているという情報が入りはじめ、当初は戸惑った記憶がある。大型テレビの4K化という流れの中、ソニーがテレビを売りやすい環境にはなっていたものの、当のソニーは高付加価値モデルにフォーカスし、「数より収益性」という方針を打ち出していた。とてもではないが、売り上げ台数が急伸するとは思えない。 【グラフ】欧州でのソニーのテレビ出荷台数が急伸中 ところが1月に全米をカバーする唯一の家電量販専門店であるベストバイに行ってみると、そこには多数のソニー製品が並んでいた。一時はサムスン電子やLGエレクトロニクスなどの韓国勢に席巻されていた売り場をソニー取り戻したのは、販促予算をベストバイ系列に集中させ、主要350店舗にソニーブランドの「ストア・イン・ストア」を作ったからだった。 ■ ソニーがベストバイで行ったこと テレビ事業のマーケティン
8月10日に、グーグルが大幅な機構改革を発表した。 持ち株会社「アルファベット」を創設して、同社は傘下の完全子会社の一つになる、という内容だ。 コア事業の検索や広告は新グーグルが継承し、自動運転車やロボットなど、これまで「グーグルX」と呼ばれてきた次世代技術の開発、「キャリコ」といった医療関連の取り組み、スマートホームの「ネスト」などは、複数のベンチャープロジェクトとしてアルファベット傘下にスピンオフする。 創業者の一人、現グーグルCEOのラリー・ペイジが新会社アルファベットのCEOとなり、共同創業者のセルゲイ・ブリンが社長、現グーグル会長のエリック・シュミットは会長となる。 グループ内で最大の事業会社かつ当面の稼ぎ頭であり続ける新グーグルのCEOには、上級副社長のサンダー・ピチャイが就任する。 サンダーは1972年インド生まれの43歳。筆者がグーグルに「プロダクト・マネジャー(
「残業が日本一少ない」「休みが日本一多い」「売上目標や営業ノルマがいっさいない」――そんな「日本一『社員』が幸せ」といえる会社がある。岐阜県にある電気・設備資材メーカー、未来工業だ。 同社は室内にある電気スイッチを壁の内外から覆う製品「スライドボックス」などを製造しており、国内トップシェアを誇る。2010年には、第1回「日本一大切にしたい会社」大賞も受賞している。 同社創業者の山田昭男氏は昨夏、惜しまれながら他界した。その山田氏の遺作となった最新刊『山田昭男の仕事も人生も面白くなる働き方バイブル』は、今、注目を集めている。最新刊の発売を記念し、山田氏を長年取材してきたルポライターによる「楽園企業」の謎に迫る連載をスタートする。「うらやましすぎる職場」をリポートしつつ、「なぜ会社はそこまで社員を大切にするのか?」という理由を探っていきたい。 第2回目のテーマは、「7時間15分の就業時間
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