(みすず書房・1万7280円) 「革命」の最重要典拠 公刊は歴史的事件 「天が動くのか・大地が動くのか」、文字通り天地がひっくり返るこの大転換を成し遂げた、と言われるコペルニクス。カントは自らの立場の新しさを表現するために、「コペルニクス的転換」と謳(うた)い、「コペルニクス革命」という表現も珍しくない。十六世紀半ば、この説が発表され、それを支持したガリレオが筆禍に遭い、科学と宗教の軋轢(あつれき)を論じる際の、代表的事例としても扱われてきた。そのような受け止め方の是非は措(お)くとして、そのコペルニクスの主著の翻訳は、これまでに、戦後間もなく科学史の先達矢島祐利の『天体の回転について』(岩波文庫)が唯一の存在であった。これは、原著全六巻の第一巻の訳であり、基本的には仏語からの重訳とも言えるもので、先鞭(せんべん)を付けた矢島氏の苦労は多とするも、全訳でないことに加えて、原典の選択、表題の
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