娘と初めて自転車ツーリングに出かけたのは旧甲州街道だった。 上野原をスタートして、犬目をぬけて猿橋まで走った。娘が小学3年生の時だ。 数日前から「大丈夫かな」と不安がる娘に「全然平気」と請けおったばかりに、当日は小さな体で急勾配を、えっちらおっちら自転車を押し上げる娘から「嘘つき」呼ばわりされてしまった。ほんとに、嘘つき、だったから呼ばわれてもしかたがないのである。 幸いなことに娘はこのデビューで自転車ツーリングに見切りをつけることなく、嫁に行くまで、時間があえば走りにつきあってくれた。 これにはデビューに同行した自転車クラブメンバーの力が大きい。 彼らは、つい苛ついてしまう私をなだめ、娘を叱咤激励ほめちぎり、美辞麗句を並べて、峠そしてゴールまで娘を導いてくれた。 自転車に限らず、運動系の趣味に家族をつきあわせようと、特に父親中心で動いた場合、家族というものは大体、父の思い通りには動いてく
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