それがなければ、危機の実態を把握するのが遅れ、また対処行動をとっても的確な判断ができず、成果につながらない。結果的に初動対処に後れをとり、危機を拡大させてしまうことになる。 その点では、独裁的体制は一見堅固なようでも、危機には脆い面も抱えている。 そのためにかえって、情報を隠蔽し事実を歪曲して、何とか独裁体制の面子を保ち、権力の正統性を守ることに躍起になる。 今回のコロナウイルス問題への対応でも、中国共産党は独裁体制の欺瞞性と脆弱性を露呈した。 武漢市党委員会の情報隠蔽と証拠隠滅招いた習近平独裁強化 昨年の12月1日には、武漢の海鮮市場において41例の感染症患者の発生が確認されていたが、そのうちの約3分の1は海鮮市場には接触していなかったことが、今年1月24日の医学専門誌『ランセット』の論文で明らかにされている。 すなわち、昨年12月1日にはヒトからヒトへの感染があることは確認されていた。
