昨年、メディアを賑わせた東京オリンピックのボランティア動員問題。ボランティアにはたとえ本人がそれを良心で行なっているとしても、その動機や結果に批判や冷笑の目が向けられるジレンマがつきまとう。似たことはボランティアだけではなく、寄付などのあらゆる慈善活動に見いだせる。今回インタビューする東京大学・仁平典宏准教授は著書『「ボランティア」の誕生と終焉 〈贈与のパラドックス〉の知識社会学』(名古屋大学出版会、2011年)で、日本のボランティアの言説の歴史を振り返り、そこに共通するあるパターンを見出した。ボランティアが抱えるジレンマを解きほぐすヒントがあるかもしれないと思い、お話を伺った。 前編では、仁平准教授がボランティアの歴史を研究するにいたった経緯と、戦中までのボランティア言説の歴史についてご紹介する。 【インタビュー後編はこちら】日本は「純度100%」を求めがち? — 東京大学・仁平典宏准教