→紀伊國屋書店で購入 「遊郭と退屈とダンディの奇妙な三角関係」 退屈はたいへん深遠なテーマである。でも、なぜか正面からは語りにくい。その理由は…?などと國分さんのおかげで考えはじめたときに、ちょうど良い本を手に取った。吉行淳之介『不作法のすすめ』である。 著者名から想像できると思うが、この本で〝退屈の哲学〟やら〝退屈の倫理学〟やらが開陳されるわけではない。しかし、ここには退屈が、いわば横溢している。退屈したり、退屈しなかったり、退屈しそうになったり、あえて退屈を楽しんだり……そうこうしているうちにこちらは読むはずのなかったことまで読んでいて、はっとしたりする。 語られるのは、「色好みの作家」とされる吉行淳之介の女遍歴である。それもかつての赤線地帯の玄人女とのお付き合い。その手のマニュアルを求めて手に取る人もいるかもしれない。好奇心を満たすような描写や解説もある。しかし、読んでいると、おそろ