戦争が、始まっている。 この戦争を、ブッシュやラムズフェルドといった人たちは、「まったく新しい戦争」と呼んでいる。 「まったく新しい戦争」は、どこがどのように「まったく新しい」のか? 9・11直後、アメリカのアフガン攻撃の最中に書かれた『文明の内なる衝突』で、大澤真幸は次のように分析している。 (アメリカのテロリストへの、あるいはタリバンへの反撃は、そもそも戦争と呼べるのか否か、ということが盛んに議論されたが)戦争なのか、それとも戦争ではないのか、という見解が大きく分裂するのは、どうしてなのか? その理由ははっきりしている。この戦いにおいては、軍隊が警察として振る舞っているからである。普通、戦争とは、主権国家と主権国家の間の戦闘――外戦――である。だが、9・11テロが引き起こした「戦争」においては、当面の敵として措定されている主権国家らしきもの――タリバン政権――は偽装的なものであっ