審判:田代まさし著 創出版 1470円 私は死刑囚とのつきあいも多いけれど、一方で芸能人の薬物依存にも、三田佳子さんの息子、田代まさしさんのケースなど深く関わってきた。田代さんは昨年6月、3年半の服役を終えて出所したのだけれど、彼が逮捕当時『創』で連載を執筆していた関係で、私は裁判にも情状証人として出廷するなど、4年前の覚せい剤事件にはかなり関わった。その田代さんが、薬物依存から家庭崩壊、刑務所での生活や出所後の状況などをまとめた著書『審判』をこのほど、創出版から出した。 最近、大学生の大麻汚染が問題になっているが、実は薬物汚染というのは、一般に思われている以上に日本社会を蝕んでいる。留置場や拘置所では、石を投げると薬物依存者にあたると言われるほどだ。日本の薬物依存対策は、欧米に比べるとひどく遅れていて、逮捕した者を刑務所に送って痛い目にあわせるという原始的な考え方だ。依存症なのだから治療