2015年の世界文化遺産登録を目指す九州ゆかりの2候補地が、秋までに決まる政府推薦1枠をめぐり、競り合っている。文化庁が推すとみられる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と、内閣官房が力を入れる「日本の近代化産業遺産群-九州・山口及び関連地域」。どちらでも「九州・山口初の世界文化遺産」に近づくが、異なる省庁から推薦案件が出るのは初めてで、絞り込みは難航しそうだ。(篠原那美) 大浦天主堂(長崎市)など長崎、熊本両県にまたがる13資産で構成される「教会群」。キリスト教の伝来から禁教・弾圧の時代を経て、ひそかに信仰が伝えられた日本独自の歴史に普遍的価値があるとした。 世界遺産登録を目指す15年は大浦天主堂で潜伏キリシタンが信仰を告白した「信徒発見」(1865年)から150周年の節目にあたり、長崎県の担当者は「今年の政府推薦は譲れない」と意気込む。 文化庁も4月、「教会群」を「推薦可能」と判定した