東京都知事選を翌日に控えた7月4日、土曜日の昼下がり。私は、ある学生団体が主催するオンライン討論イベントに招かれた。テーマは民主主義。日本政府のコロナ対応はうまくいったと思う? 明日の都知事選、どんな視点で投票するんですか? 全国各地から参加してくれた若者たちと意見を交わすうち、都内の大学に通う4年生の男子学生(23)の発言に、メモを取る手がとまった。 「ぼくは選挙に行くとき、候補者の主張を調べはします。でも、どうしても距離を感じてしまうので、多数派から支持を得ている人に投票するようにしています」――。 え、どういうこと? 理由はこうだった。 子育て、年金、医療、働き方……各候補が様々な政策を主張するけれど、どれも「自分ごと」に感じられない。でも、選挙に行かなきゃ大人じゃない。国民の義務を果たしていないと言われたくない。そんなあやふやな考えの自分の1票が変な影響を与えないよう、せめて