【北京=矢板明夫】中国当局は12日までの6日間で、丹羽宇一郎駐中国大使に5回抗議した。中国当局が今回、異例なほど激しい反応を示すことになった背景には、事件直後に下した「長期化することはない」という中国側の誤った判断があったとみられる。 中国の船舶が海外で現地政府などとトラブルを起こすことは珍しくないが、中国当局はこれまで報道を規制するなど、世論を抑えることが多かった。 2009年2月に中国の貨物船がナホトカ沖で、ロシアの国境警備隊から銃撃を受け船員8人が死亡した事件があったが、その際には、中国政府は国内メディアに対し国営新華社通信が配信した記事だけを使うよう要求。民間団体が北京のロシア大使館の前で行う抗議活動も許可しなかった。 しかし、今回の事件で中国当局は国内メディアの日本批判を容認。ある中国紙の編集者は産経新聞の取材に、「これまで外交上、敏感な問題があるときは共産党宣伝部が注文を付けて