和歌山県の山間部で地元の人たちの仕事を手伝いながら、わずかな収入で自由気ままに生活している若者たちがいる。あくせく働かず、自然に恵まれた環境で好きなことをしながら暮らす“山奥ニート”たち。かつて引きこもりだった人もおり、「楽しく暮らすのが一番」とも。そんな彼らに地元の人たちも好意的だが、こうした「自由な生き方」は新しいライフスタイルとして定着するのだろうか。(兵頭茜) 1月中旬、和歌山県田辺市五味の畑で2人の若い男性がクワをふるっていた。就労、就学していない若年無業者がニートと呼ばれるなか、“山奥ニート”を自称する石井新(あらた)さん(27)と仲間の男性(26)。この日は近くの社会福祉法人の依頼で、入所者とともに畑を耕していた。 和歌山市から車で約2時間半。彼らが暮らすのは山間部の限界集落だ。住居は廃校となった小学校の校舎を改装して使っている。建物は引きこもりの人を支援するNPO法人「