2008年第3四半期に始まった金融危機は,半導体需要の急激な低下を引き起こし,その後の半導体工場の稼働率は過去に例を見ないほどの落ち込みを見せた。さらに自動車産業の不振は,今まで安定成長を続けてきた車載半導体需要を急降下させることになる。そうしたなか,いち早く景気対策を実施した中国では民生機器向け需要が回復し,台湾の「××tek」という会社名に代表されるファブレス企業は急激に業績を回復した。 これに対して日本の半導体メーカーの業績には,乗り遅れ感がある。これは,「安くてそこそこの性能と品質」という,今世界で最もニーズが強いジャンルにおいて,日本の半導体業界の食い込みが遅れていることによる。2009年第2四半期になると,最悪の時期は脱して稼働率は上向き,「フル稼働」という情報が入ってくるようになった。深刻な危機は去り,納期問題というありがたい問題に頭を抱えるようになった読者も多いのではないか