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ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (438)

  • まるでコーヒーのおかわりを頼むように、妻は「離婚しましょう」と言った。 - Everything you've ever Dreamed

    離婚しましょう」奥様は言った。水曜午後8時。国道沿いのファミレス。道路に面して並ぶボックス席に、僕ら以外に客はいなかった。ヘッドライトが線になって右から左から僕らの前を通り過ぎていく。僕らは、お互いに、言うべき言葉を不発弾のように抱えていた。目の前には冷めたポテトフライとまだ温かいホットコーヒー。沈黙を破ったのは奥様だ。「離婚しましょう」まるでコーヒーのおかわりを頼むような言い方だった。 他人事みたいに言うなよ、と僕は言いたくなったが堪えた。感情を丁寧に排除することで、一時の感情に流されず、理性と意志で下した判断であることを、聞き手にわからせる意図が言葉から垣間見えたからだ。そして「別れを重いものにならないようにしたい」という気づかいが痛いほどよくわかったからだ。彼女はコーヒーカップを両手で包んでいた。何か大事なものを守っているように見えた。それが二人の過ごした時間であったらいい。 「も

    まるでコーヒーのおかわりを頼むように、妻は「離婚しましょう」と言った。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/12/18
    あやういところだった
  • カレーライスを食べよう。 - Everything you've ever Dreamed

    カレーライス最高!カレーライスには作った人間とべた人間を幸せにする力がある。だからカレーライスには金と手間をかけるようにしたいと強く思う。唐突にこんな話をするのは、高齢化の進む弊社上層部にバイキングにおけるカレーライスの役割について説明をした際、「何を言っているんだ」という顔をされ、自分の説明に自信がなくなったからである。 バイキングというのは、ご存知のとおり、定額でいろいろな種類のべ物がべ放題でいただける提供スタイルだ。最近ではイチキュッパー、二ーキュッパーといった安価な価格帯で、時間制限を設けるサービスが多い。品会社に勤めているので、クライアントさんの中にはバイキングを導入しているところがいくつかあって、材を納品するだけでなく、メニュー提案や運営アドバイスもしている。収益のよろしくないバイキングから相談を持ちかけられたとき、僕が最初にする助言は「カレーに力を入れよう」である。

    カレーライスを食べよう。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/12/18
    華麗なるオチ
  • フラットな組織にはぺんぺん草も生えない。 - Everything you've ever Dreamed

    先日、賞与が無事支給された。ありがたいことである。ありがたくないこともあった。賞与査定の際に、上層部から「フラットな視点で査定をするように」ときつく言われていたので、そのとおりフラットな目で査定をしたのだが、どうも上層部A(64)のお気に召さなかったようで、呼び出しを受けたのだ。正直、驚いた。というのもAのいう「フラットな査定」が「成績にかかわらずスタッフ間においては平坦な評価をつけろ」というものだったからだ。僕が考えるフラットな(視点からの)査定は、出来るかぎり公正公平な視点から成績の良いものには良い評価、悪いものには悪い評価をつけるというものだったので、彼らのお気に召さなかったのは想像に難くない。「部下は平等に扱わないとダメだ」と上層部Aが言うので「平等に扱っているから差がつくのです」と反論する。 Aの考えは、グループ内で評価を平坦にすることによって優れた者にはもっとやらなきゃという危

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    kenzy_n 2020/12/12
    ビー・フラット
  • 「集荷に来た宅急便スタッフにご苦労様と声をかけたら部下に笑われた」ツイートについての補足と謝罪 - Everything you've ever Dreamed

    先日以下のようなツイートをした。『会社へ集荷に来た宅急便の人に「ご苦労様。お願いしま〜す」と声をかけたら部下氏に「部長〜。こっちは金を払っている客なんだから労いやお願いの言葉なんてかけなくていいですよ」と笑われた。寒い時代と思わんか。』 会社へ集荷に来た宅急便の人に「ご苦労様。お願いしま〜す」と声をかけたら部下氏に「部長〜。こっちは金を払っている客なんだから労いやお願いの言葉なんてかけなくていいですよ」と笑われた。寒い時代と思わんか。 — フミコ・フミオ (@Delete_All) 2020年11月18日 大変多くの反応(数万のリツイート/いいね・440万インプレッション)をいただいた。ありがたいことに当該部下氏と僕に対してアドバイスをくれる人も多く、大変感謝している。だが、ツイッターの文字数制限による、説明不足から、誤解されている人からの指摘も数百にのぼったので、この場をかりて補足説明さ

    「集荷に来た宅急便スタッフにご苦労様と声をかけたら部下に笑われた」ツイートについての補足と謝罪 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/11/26
    部下との間の溝は深くしないでほしい
  • 新興宗教の勧誘を別の神を擁立して丁寧に退けました。 - Everything you've ever Dreamed

    新型コロナ感染拡大にビビッて3連休を自宅で過ごしていたら新興宗教の勧誘を受けた。ウチのベルを鳴らしたのは中年女性2人組である。モニター越しでも「ああ、あの人たちね」とわかる雰囲気。相手にとって不足はない。だが、僕はから新興宗教にかぎらず、新聞、ケーブルテレビ、健康飲料、マンション等々各種勧誘を受けないよう、きつく言い渡されている。しかし、今、彼女は、メイク中であるため、玄関に出てこられない。ふたたびベルが鳴った。緊急事態である。 なぜ僕が勧誘の対応を禁じられているのか。それは僕が断るまで相手をその気にさせてしまうからである。駆け出しの営業マン時代を重ねて、ついつい相手の話を聞いてしまうのだ。「で、おたくの神様はどうやって僕の幸福を最大化してくれるの?」「クーリングオフは可能?」という調子で、玄関先で長話をはじめる僕に「あ~もう!」との苛立ちが爆発、特に厄介な宗教の勧誘には彼女が対応する

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    kenzy_n
    kenzy_n 2020/11/24
    山の神
  • 鬼滅の上司 - Everything you've ever Dreamed

    ブームは後から参戦しようとした人たちに「あ、なんか乗ってる人たちがダサいな」と思われたときが終わりの始まりなんじゃないだろうか。先日の会議の冒頭に、社長が「新型コロナの影響で厳しい状況が続くが、全集中で!」なんて言った瞬間、僕は、鬼滅ブームのクライマックスを見た気がした。 「社長の中で鬼滅がキテル」と気付いた上層部の方々が、注意を惹こうと、「ここは全集中で!」「全集中で乗り切りましょう」などと、要所要所で「全集中」を使いはじめたのだ。《こういうプロセスを経て流行が定番になっていく…。》寂しいような嬉しいような気持ちで、ご高齢の上層部一同に突如、巻き起こった鬼滅騒ぎを聞き流していたら、「全集中で終わらせておくべきでしたが」「あれは全集中の予定では…」などと前後の文脈がつながらない全集中があらわれてきて、よもやよもやの様相になってきて眠気が吹っ飛んでしまった。ゼンシューチュー・ノ・ヨテー。前週

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    kenzy_n 2020/11/19
    惜しいところまではいっている
  • 新型コロナの影響で飲食業が厳しいのは売上減のためだけではない。 - Everything you've ever Dreamed

    僕は品会社で働く営業職のサラリーマン。新型コロナ(COVID‐19)感染拡大で客数・売上が減って飲・外が大打撃を受けているけれども、地味にダメージを受けている衛生対策について、「どうにかならないかな…」と思うところがあったので残しておく。 社員堂(製造業)の受託案件で、そのクライアントA社は事務部門の一部がテレワークになっているが、新型コロナの影響では数は微減といったところ。数はランチタイムで平均300。喫時間は11:30~13:00 座席数は300強。A社と協議のうえ決められた新型コロナ対策は1)アルコール消毒等衛生対策の徹底 2)密を避けるための喫時間の延長 11:00~14:45 3)喫スペース(テーブル)へのアクリルボードの設置(管理は弊社)であった。これらを徹底してくれれば、社員にも働きかけて数維持は約束するという話であった。はじめての試みなので、様子を見な

    新型コロナの影響で飲食業が厳しいのは売上減のためだけではない。 - Everything you've ever Dreamed
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    kenzy_n 2020/11/12
    見えない壁がのしかかってくる
  • 超高齢化社会、中途採用面接のリアル - Everything you've ever Dreamed

    体調不良でダウンした同僚の代理で、中途採用面接に立ち合った。調理技術とリーダー経験を求められる現場責任者の枠だ。事前のエントリーシートで面接者のデータを確認してから面接に臨んだ。ヒアリング等細かいことは採用担当者が行うので、僕の役割は、その隣で意味ありげに「なるほど」といってうなずいたり、ちょっと気になる発言があったときに目を見開いて興味を浮かべているような表情をする実質マスコット的なものである。いらなくね?と自分の存在に疑問をおぼえるが、面接は2名以上で行うという規定があるので仕方ない。 入室した面接者が挨拶をした瞬間、僕は違和感を覚えた。手元にあるデータと渡された履歴書を見比べて、その違和感の正体を確認してから、隣りにいる採用担当に「地雷だぞ!」と視線を送ったが気付かない。急に寒くなりましたね~なんて、すでにフランクな感じで話しかけている。面接者は58才男性。資格経歴職歴は我々が望んで

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    kenzy_n 2020/11/05
    今後は担当者より若い人を採用する機会が減ってくるのではないかと
  • 会社には絶対にしくじってはいけない選択がある。 - Everything you've ever Dreamed

    社長からランチに誘われた。サシである。「来たな」と覚悟を決めた。社長は気になる人間をランチに誘って振るいにかけるとは社内では有名で、僕がサシ・ランチに誘われるのは入社3年で初めてである。我が社は社長派と常務派で争いが続いている。若返りをはかりたい社長と古参の上層部の対立である。 つまり、サシ・ランチはただのランチではなく、踏絵なのだ。社長からの質問に対して的確に答えなければ、最悪、失脚。僕と社長とのランチを聞きつけた古参社員から、ちょっと耳に入れておきたいことが、と話を持ちかけられた。その人は、もともと常務派で僕のことを目の敵にしていたけれども、とある案件でしくじって、トカゲの尻尾のごとく切られて、今は僕の部下として働いている。元々の敵である僕の部下になってしまったうえ、60を越えて初めての新規開発営業の仕事をさせられているせいで、すねてしまい、日常的に反抗的でヤル気のない不良債権と化して

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    kenzy_n 2020/10/23
    社長が魔王に見えてきた
  • 閉店を惜しむ客がいるのに潰れてしまう店のリアル - Everything you've ever Dreamed

    取引先の飲店から突然、閉店の連絡を受けた。脱サラしてはじめた洋店。「コロナが憎いよ」店主は無念さを隠そうともしない。メニュー改訂やテイクアウトで半年間粘ったけれども、客足が戻ることはなかった。材を卸させていただいていた業者目線でも、そこそこ繁盛していた店だと思う。「夕方まで手が離せないから納品は昼は避けてくれ」と言われていたし、何回かべた料理はどれも美味しかった。 僕は、なんていっていいかわからず、軽い気持ちから「最後に閉店イベントをやらないのですか?」とたずねてしまった。これが良くなかった。鎮火していた店主の心を再点火させてしまった。「閉店の貼り紙を出した途端に、以前はよく来ていたお客がやってきて、店がなくなると困る、惜しい、想い出がなくなる、と言ってくれてる。それは嬉しい。でも普段から来てくれてればウチだって閉店しないですんだんだよ。お金を落としてくれるのが客。死に際にお別れの

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    kenzy_n 2020/10/16
    互いにこんなはずじゃなかったという気持ちを残す
  • 「キミにしか出来ない仕事」が「誰にでも出来る仕事」に堕ちるとき - Everything you've ever Dreamed

    「キミにしか出来ない」と言われて任されたはずの重大な仕事が、対応したあとに「誰にでも出来る仕事」と貶される…。20数年間のうだつのあがらない会社員生活で、何度かこのような《誰でも出来る仕事ハラスメント》を受けた。悲しくて悔しくてやりきれない経験はもうこりごりなので、「キミにしか出来ない仕事」は出来るだけ回避してきたけれども、自分の思うようにいかないのが人生である。 8月。社長の強い意向で今春開設した東京営業所を、社長の強い意向で早急に閉鎖することになった。新型コロナ感染拡大により先行きが見えなくなったからだ。社長の決断は早い。そして社長案件は様々な意味で特別。社長以下の幹部が出席する部門長会議。会議室の空気は重く、しん、と静まり返っていた。営業所開設のときは、社長案件ということで「我先に」と手をあげた者が誰も手をあげない。目をとじて腕を組む者。真剣なまなざしで資料をめくる者。呆けて壁のカレ

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    kenzy_n
    kenzy_n 2020/10/13
    繰り返されてきた円環の理
  • COVID‐19は営業ノルマを廃止するチャンスになるのか社長との対話のなかで考えてみた。 - Everything you've ever Dreamed

    「営業ノルマを廃止しませんか?」ボス(社長)に対してこのような大胆な提案をしたのは、ボスから、アフターコロナでもウィズコロナでも名称はどうでもいいのだけれど、時代の変化にあわせて今後の営業活動計画を見直すよう言われて、出しても出しても「こんなもので当に結果が出せるのか」「時代がどう変わるのか正確に見通せ」とモグラ叩きのごとくボコボコに叩かれ、いよいよ後がなくなったからである。ヤケクソである。 僕は品会社の営業部長。営業という仕事を四半世紀やってきた。その四半世紀はノルマとの戦いでもあった。ノルマには功罪ある。功は、目標の明確化やモチベーション維持など。罪は、強引すぎる営業につながる可能性があること、ノルマ自体が数値を達成したときにブレーキをかけ、意図的に次の期へ数字を繰越すといったストッパーになりうることなど。特に高ノルマが強引な手段や不正につながり問題となったケースを何度も見てきたの

    COVID‐19は営業ノルマを廃止するチャンスになるのか社長との対話のなかで考えてみた。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/09/11
    変化に人も社会も追いついていけない状況
  • 社内抗争に敗れた上司が僕の部下になった。 - Everything you've ever Dreamed

    弊社は、社内限定で「役職」ではなく、「さん」付けで呼びあうことになっている。実際は、「役職」でも「さん」でもどちらでもオッケー!というユルい感じで運用されている。そんなユルユルな社風の我が社でも、多くの会社と同じように、派閥抗争がある。社長派と常務派に分かれての抗争だ。僕自身に意識はないが、社長面接で中途入社して幹部になった経緯から、社長派と目されているため、常務派から目の敵にされている。社長から特別可愛がられているわけではなく、むしろ都合良く、便利屋のように使われているので、メリットはない。面白くもない。 常務派はうまくいっていないらしい。最近も派閥内の権力闘争に敗れた人がいる。僕ら部長クラスの上席にあたる統括部長だ。彼は、自分の地位は未来永劫に安泰と勘違いして、診断書の出せない謎の長期入院しているうちに、所業悪行が暴露されて、立場を追われた。哀れだ。とはいえ会社の功労者、このまま追い

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    kenzy_n 2020/08/22
    木下藤吉郎エフェクト
  • 夏に揺れる。 - Everything you've ever Dreamed

    駐車場でときどき見かける、オバハン運転の高級外車の危なっかしい運転にムカつきながらやってきた、いつものスーパーの夏野菜コーナー。特売を報せるアナウンス。キンキンに効いたエアコン。入り口のドアが開くたびに侵入してくる猛烈な熱気。目の前にはナス、トウモロコシ、トマトが信号機のような色合いで並んでいる。 僕の傍らにいた1人の女性がキュウリを手に取った。僕と同じ年代だが、ノースリーブの白く細い腕とたくましいキュウリのコンビが妙にエロティック。僕の視線は、甘い蜜をみつけたアリになって白い腕を舐めるようにはい登る。そして白い腕を持つ女性と目があってしまう。僕は彼女を知っていた。彼女の目も僕を補足していた。その目はあの夏の日と同様に、僕を睨みつけていた。 1994年、大学3年の夏休み。僕は隣町の山の上にあるゴルフ場のレストランでアルバイトをしていた。自転車で山道を登って通うのは一苦労だったけれども、仕事

    夏に揺れる。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/08/20
    あの夏と、この夏の狭間で揺れ動く
  • 死について考えている。 - Everything you've ever Dreamed

    先月、俳優の三浦春馬さんが亡くなられてから、ずっと、死について考えている。特別、三浦さんのファンでもないのに、時間があると、つい、彼のことを検索してしまっている。検索できるかぎりの動画やインスタは全部見たはずだ。理由ははっきりしている。当初報じられていた彼の死にかたが、20数年前の父のそれと酷似していたからだ。報道を信じるなら、そのまま、と言ってもいい。おそらく、「そこ」に至るまでのルートは人それぞれだが、決めてしまったあとのルートは、作業的になってしまうのだろう。スターであれ、庶民であれ。10代の終わりに父を亡くしたとき、死と自らそこへ向かう心理については散々考えて僕なりに結論を出している。「人の気持ちはブラックボックス」というのが僕の辿り着いた結論だ。人の気持ちはブラックボックスで、それがどういうものなのか推測はできるけれども、中身を知ることは出来ないのだ。遺書があったとしても、そこに

    死について考えている。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/08/13
    身近にあり、避けては通れない事象
  • かつて「必要悪」を自称した元同僚が面倒くさすぎる客としてあらわれて心が死にました。 - Everything you've ever Dreamed

    去る7月30日の朝、何の前触れもなく突然、目の前に地獄の門がひらかれて死んだ。前の職場を自己都合で辞めてから流浪の人生を送っているはずの、5年ほど音信不通であった「ゆとり世代」の元同僚くん(通称「必要悪君」)が、客として僕の前に現れたのだ。それ以来頭痛と目まいに悩まされている。回避する術はなかった。というのも彼はメールで商談していた相手の同行者としてあらわれたからだ。メールの「当日は私の上司が一名同行する予定です」という一文が地獄の門をひらく呪文と見抜ける人はいないだろう。 「よっ!」と軽い感じに手をあげる元同僚くん。動揺を見せないように「お、久しぶりじゃん。このご時世なのでマスクのままで失礼するよ。換気のために窓は開けさせてもらうから」と面談ルームへうながし、名刺交換。元同僚くんは競合他社の営業主任になっていた。珍獣を雇用する余裕のある会社なのだろう。「お久しぶりです。課長。今日は後輩の

    かつて「必要悪」を自称した元同僚が面倒くさすぎる客としてあらわれて心が死にました。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/08/13
    帰ってきちゃったのか
  • 突然アシュラマンのごとく - Everything you've ever Dreamed

    生き馬の目を抜くような会社で生き残るためには、成果を出すのはもちろんのこと、状況に応じてアシュラマンのように「顔」を切り替えていかなければならない。笑っていいときと笑ってはいけないときの見極めを誤るだけで出世コースから外れることもある。社内でオッサンが仏頂面になっているのは、仕事に集中しているのではなく、顔の選択をしくじらないための自己保身に他ならない。 先日、上層部の1人に呼び出された。「急遽2週間ほど入院するので後は頼む」と言われた。後は頼む、と言われたが、引き継ぐ業務はなかった。65才の彼は、社内ナンバー3である。業務全体を統括する立場にあるが、統括をしている様子はないので、名誉職なのだろう。 3番目の男が入院してから社長出席の部門長クラスの会議がおこなわれた。いつもなら「はじめてくれ」と切り出す社長が「ちょっと皆に話がある」と話しはじめた。真剣な表情。僕は「話を聞いています」という

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    kenzy_n
    kenzy_n 2020/06/24
    時には阿修羅が如く
  • コロナの時代の愛はどうだ - Everything you've ever Dreamed

    新型 コロナの前からアルコール消毒をする人だった。ウチの奥様だ。彼女がアルコールを手指に吹き付けるのは、我が家では当たり前の光景だった。僕が神経質すぎやしないか?と笑うと、彼女は「管理栄養士の職業病かも」といって微笑んだ。穏やかな時代だった。手指のほか、家電や家具の手が触れるところ、ドアノブ、冷蔵庫のドアなどが対象だった。僕も、40歳をこえると、ドアノブ軍団に入れられた。僕が触れたところは消毒、消臭。手洗いを終えると光の速さで飛んできて僕の手のひらにアルコールをシュッシュした。そして、彼女の正しさは2020年に証明された。 母もアルコール消毒をする人だった。もっとも、その習慣が定着したのは、父が亡くなったあと、葬儀屋で働き始めたころだ。そこで手洗いのあとのアルコール消毒を学んだのだろう。もっと昔、たとえば僕が小学生低学年の頃は、今のようにアルコール消毒をする習慣は一般的ではなかったと思う。

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    kenzy_n
    kenzy_n 2020/05/06
    愛には距離が必要か
  • 明石順平著『ツーカとゼーキン』は絶望から目を逸らす危険性について書かれた現代の黙示録だった。 - Everything you've ever Dreamed

    明石順平著「ツーカとゼーキン」を読んだ。絶望しかないが読んで良かった。そのタイトルから、現在の税制批判についてのかと思いきや、「日の財政再建は不可能、円が暴落して、借金踏み倒されてゲームオーバーになる」という、絶望的なビジョンが語られていた。 ツーカとゼーキン 知りたくなかった日の未来 (インターナショナル新書) 作者:明石 順平 発売日: 2020/04/07 メディア: 新書 著者は「財政あきらめ論者」の立場から、日がなぜ壊滅するのか、その後の再製のために書いたと述べている。おそらく大半の読者は僕と同じように財政あきらめ論者ではない。だが、著者はそういった読者に対し、現在の日に厳しい状況とその後に訪れる壊滅を説明するために、和同開珎前からの通貨の歴史と紙幣の誕生、そして、歴史的に繰り返してきた、困ったとき(お金が足りなくなったとき)に、お金を多く発行して、価値の下落を招くとい

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    kenzy_n 2020/05/06
    いつか来るかもしれない日に
  • 森博嗣『お金の減らし方』はお金の教科書ではなく、価値ある人生を送るための参考書だった。 - Everything you've ever Dreamed

    森博嗣著「お金の減らし方」を読んだ。帯カバーに「人気作家によるお金の教科書」とあったが、そういうものを期待して読み始めると、膝カックンをされるような、痛快な内容で、面白かった。 お金の減らし方 (SB新書) 作者:森 博嗣 発売日: 2020/04/07 メディア: 新書 書は、お金をネタにした、「価値」についてのだ。お金の稼ぎかたについては、前提となる条件が違いすぎて、著者のいっていることはほとんど参考にならない。「アルバイトのつもりで書いた小説が当たって何億も稼いだ」「小説は好きではない」「ポルシェが欲しいので買った」「家は現金で買った」…。あっさりとこんなことが書かれていて、正直でとても良い。 書における価値とは「当にやりたいこと」「当に欲しいもの」を手に入れることである。自分が楽しめることに価値があり、お金は手段にすぎないということでもある。そんなの当たり前じゃないか。と

    森博嗣『お金の減らし方』はお金の教科書ではなく、価値ある人生を送るための参考書だった。 - Everything you've ever Dreamed
    kenzy_n
    kenzy_n 2020/04/30
    SNSに疲れた(憑かれた)時に読みたい