5年間の小泉政治が終わるに当たって、この時代とは何だったのかという総括の議論が盛んである。私も思うことはいろいろあるが、最も大きな損失は、政治における議論が不可能になったこと、難しくいえば、政治的言論空間の喪失だったと考える。 8月15日に靖国神社を参拝した時、小泉首相は、「どうせいつ行っても批判があるのだからこの日にした」と語った。悪さをした時に開き直る子供の言いぐさである。私が子供の時にこんな口をきいたならば、すぐに親に張り倒されただろう。こういう口のきき方に、論理的な批判をしても意味はない。そもそもそういう恥ずかしいことを言ってはならないと子供の頃から教え込む事柄である。小泉という人は、人間としての当然の教えを受けないまま権力者になってしまったのだろう。一国の首相がこれほど幼稚な発言をし、それに対して国民が恥ずかしく思わないという現状こそ、小泉時代の到達点である。 もちろん、一部の新