地方にいるからこそ、見えてくるものがある。東京に集中する大手メディアには見過ごされがちな、それぞれの問題を丹念に取材する地方紙、地方テレビ局。彼らはどのような信念と視点を持ってニュースを追いかけるのか? 香川と岡山を放送エリアとするKSB瀬戸内海放送による調査報道を取り上げます。 地方局が作る地域の「クロニクル」 〈善いことの『ちから』に〉。2019年に開局50周年を迎え、KSB瀬戸内海放送が掲げた経営理念だ。放送エリアである香川・岡山で地域に貢献するということだが、報道においてその意味するところを、本山秀樹・報道クリエイティブユニット統括マネジャー(53)はこう説明する。 「地方メディアは、報道機関であるとともに地元企業の一員でもある。権力監視をしっかりやるのは当然ですが、一方で地元の応援団でもありたいと考えています。地元の行政や政財界でも、おかしいことがあれば批判する。けれども、斬って